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映画 イヴ・サンローラン

Y、S、L、が絡みあった、シンボルマーク、ひと頃よく見かけました。
ファッション通でなくても、シャープでエレガンスな印象あった、ブランド。

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弱冠21歳でディオールの後継者に、けれどゴタゴタ、順調にはいかなくて、
というあたりから、当時のファッション界をぐいぐい引っ張ってゆく
立役者たち勢揃い、彼らがつるんではいちゃつく様子が、臨場感たっぷり、
つたわってきて、ベルナール・ビュフェが、カール・ラガーフェルドが。

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野望を抱きながらも、それぞれに鬱屈、誰もが一目おく才能をもちながら、
服のデザインはできても、プロデュース的な決断、交渉は苦手、というのは、
芸術家には、ありがちなことだけれど、そんなサンローランと彼を補佐する
者との関係性の重要さ、情熱的な恋愛感情などでは果たせない、繊細な作業。

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出発点は芸術、ひとりの人間の感性から、であっても、それが大衆に向かって
商業ベースにという過程には、多くの人間の思惑、手仕事が、当然かかわって、
むろん、お金も必要、ビジネスとしての成功を勝ち取る使命はあるのだけれど、
いっぽう、精神が開放される時間もなければ、センスもよどんでしまうのでは。

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遊ばせながらも、手綱を引き締める、天才的なデザイナーを、愛する気持ちと、
嫉妬する気持ち、思いのままにならない苛立ちと、それでも頼られる充実感、
一流ブランドの大番頭として、ともに立ち上げたメゾンを守り抜くことだけを
自らに課したかのような、ピエール・ベルジェの視線が、物語をほろ苦く。

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苦手なインタビューに、謙虚な姿勢を示すサンローランと、そんな彼を
咎めるベルジェとの、いざこざが、彼らの人間性を象徴しているらしく、
持てる才能を、自然な現象として受け止め、気前よくほとばしらせる天才に、
むしろ、もったいぶって価値を上げさせようとする、ビジネスマンの目。

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葛藤をくり返しながら、刹那で情熱的な恋愛感情が、憎しみもおり混ざって、
濃密で深淵な情念で結びつくほどに、きらびやかな世界のスポットライトの
外側の暗闇では、もがいて苦悩して嘆いて、はげしく反発しつつも、
離れることができない、互いを必要としている事実が、鬱陶しくもあって。

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伝統から革新へ、喝采もブーイングも、栄光も堕落も、華奢なからだで
受け止めたデザイナーが全身全霊をかたむけて表現したカタチだと思うと、
ファッションの、奥深さ、物語の気配が感じられて、装うってドラマチック。

シネプラザサントムーンにて11月

イヴ・サンローラン 公式サイト

by habits-beignets | 2014-11-24 23:43 | シネマのこと | Comments(0)

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