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『マッピー』用ボーダー

映画 海炭市叙景

モノクロの世界に取り残されたような、雪にけぶる海と炭坑の街。
そこに浮遊する、いたいけな魂たちの、せつない揺らぎ。

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兄が造船所を解雇されてしまった兄妹の、つましい年の瀬と年明け。
進水式のときの、彼らの無邪気な笑顔のまぶしさが、印象的なだけに、
初日の出を見守るときの、いたましげな様子が、胸をうちます。

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ささやかな喜びを、たいせつにしようと、猫とのふたりぐらしを、
頑強にまもり通そうとする老女の、飄々と見えるそのなかにも、
ものおもわしげな、皺にいろどられた表情。

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ちいさなプラネタリウムを操作する男は、夕暮れと夜明けのあいだの、
人工的な星空の美しさを、自分の手でくり返して映しながら、
かつて愛するひとと眺めた、ほんものの星空を、あきらめきれないで。

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トラックにプロパンガスを載せて、日々うごきまわるだけでは
飽き足らないのか、若社長は、新しいことを始めようとも、うまく
いかず、どころか、やすらげる家庭も持てないで、いらだってしまい。

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仕事で故郷にやってきたのに、家をたずねることはできないで、
誘われるまま、なりゆきで、場末のスナックで、無為に夜を
すごしてしまう、うだつのあがらなさそうなビジネスマン。

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それぞれが、ゆるやかに繋がる、5つの物語に登場するひとたちは、
その表情が、笑顔も、沈痛な面持ちも、怒りも、みな真剣で、
静かに圧倒されて、ひきこまれてしまいます。

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こんなに、胸にまっすぐ訴えてくる映画は、とてもひさしぶりだったので、
パンフレットを買い求めたのですが、驚いたのは、プロの俳優ではない
一般の方々が、かなり重要な役を演じていて、かつ、けっしてプロには
ひけをとらないたしかな存在感を、見せてくれていること。

佐藤泰志さんという、不遇の小説家の作品が、原作ということなのですが、
その小説を愛し、映画を愛しているひとたちの情熱が、根気よく丁寧に、
つくりあげた映画なのだということが、パンフレットの随所に描かれていて、
だから、魂にうったえてくるものができたのだなあ、と、思わず納得です。

商業的な大作だけではなく、こういった作品も、ぜひたくさんのひとたちに、
見ていただけたらなあ、と、応援したくなりました。

シネプラザサントムーンにて、2月

海炭市叙景 公式サイト
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by habits-beignets | 2011-02-27 20:25 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 ソーシャル・ネットワーク

SNSって、よくわかってなかったんですけど、私。
ミクシィも、すぐやめてしまったし。
ネットで社交の場とか、必要ではないんですよね、オバさんだし?

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でも、それで世界がひろがるってことは、よくわかります。
ものすごい数のひとびとと、じっさいに会うことがなくても、
その思想や感性や趣味まで、知ることができますものね。

ちょっと怖いなあと思いながらも、その世界にとびこんでみたら、
やめられなくなるんでしょうね、麻薬的魅力もあるような。

そんな、怪物みたいなものが、創られて、育ってゆく過程が、
もちろん、実話そのままではないのでしょうけれど、
おおよそ、わかるような気持ちにさせられて、見守りましたが。

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物語の進行は、最初はそうとは気づかなかったのですが、
ふたつの裁判での証言にそって、場面が映しだされるかたちで、
スピード感があって、ひきこまれます。
あっというまに、世界が変わる、その臨場感。
やはりこれは、監督の力量なのかも。

いろんな見方があるでしょうけれど、とても、共感を覚えたのは、
主人公が、自分の創りだしたものを、商業的な道具にすることより、
ひたすら自分の理想にちかづけようと、こだわりつづけるところ。

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ひとを欺いたり、傷つけたり、ずいぶん利己的な人間のように
描かれているかんじもあるけれど、妥協しないで自分の世界を
大事に守る姿勢には、なんだか、せつない気持ちもおこって。

どんな、巨万の富を得るようなことになっても、けっきょくのところ、
ただロマンチックな男の子の夢が、巻き起こしてしまったことなのだと、
微笑ましく思われてくる、ラストであったりしました。

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シネプラザサントムーンにて、2月

ソーシャル・ネットワーク 公式サイト
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by habits-beignets | 2011-02-18 02:00 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 マザーウォーター

京都を舞台にした、自立したおしゃれな女性たちの日常が、
ほのぼのと描かれた作品、と思っていると、ちょっと肩すかし、
といったところがあるかもしれません。

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街並の風情、お店の雰囲気、登場人物たちの出で立ちなどは、
たしかに、ちかごろ流行りのファッション雑誌を見るようなのだけれど。

それぞれの背景が、不親切なほど、なにも語られず明かされす、
すこし頑張って、こちらの想像力を総動員させないと、
あやうく、退屈きわまりない映像にしか、ならない危険も。

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ときおり、たぶん本当にその街で暮らしているひとたちとの
やりとりが、出てくるのだけれど、その、物語をざっくり切るような
異物感に、ハッとして戸惑ってしまい、妙な感慨を抱いたり。

これは、恋愛なのかなあ、そうじゃないのかなあ、
セツコさんとヤマノハさんを見ていても、よくわからないのだけれど、
でも、そういえば、恋愛の始まりって、そんなもんなんだよなあ、なんて。

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どうして、こんなちょっとした言葉のやりとりで、これらのひとたちが、
つぎつぎつながって、心地よさそうにしているのか、不思議な気が、
しなくもないけれど、あんがい近所に住んでいるということだけで、
というか、とくに「ここ」を選んで住んでしまったひとたちだからこそ、
顔を見合わせただけで、なにかわかりあえる、そういうことがあるのかも。

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最初と最後だけ、登場する、おかあさん、らしき女性の存在も、
妙に意味深なのだけれど、物語をはらんでいる何かの象徴なのかしら、
というのは、すこし考えすぎだったりするでしょうか。

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お洋服、みなさん、それぞれ個性をだしてすてきでした。
キョンキョンのワンピース姿、小林聡美さんのバーテンダーぽいキリッと
した白いシャツ。

シネプラザサントムーンにて、2月

マザーウォーター 公式サイト
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by habits-beignets | 2011-02-09 17:41 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー