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『マッピー』用ボーダー

映画 聴こえてる、ふりをしただけ

11歳、小学校五年生、少女。母親にとつぜん死なれて。
これまでの平穏が、じわじわ、足場から崩れてゆく物語。

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ランドセルを背負ってはいても、大人びた彼女たちの姿が痛々しい
というか、すでにもう、いっぱしの女性のようで、子供の無邪気さと、
大人の計算高さ、見栄のようなものが、入り混じっているかんじが、
妙にリアルで、恥ずかしいような悲しいような、胸がちょっと痛くて。

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派手に泣いたりしないで、大丈夫、と気丈につぶやく物わかりのよさが
いじらしく、つい言葉をかけてしまうけれど、お母さんはいつも見守って
いる、なんて。でも、いたわりのつもりのその言葉が、少女にとっては、
とてつもなく切実な大問題で、どんなふうに? ほんとうに?

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死んでしまった、いなくなってしまった、という事実を、どう理解
すればよいのか、どう受け止めればよいのか、戸惑い、さすらう姿が
微妙な距離をあけての、友だちや家族との会話を交えながら、描かれて、
弾ける笑顔をどこかに忘れてしまった少女の、過酷な旅路が訴えてきて。

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「おばけ」をこわいものだとは、もう彼女にはおもえない。
「おばけ」にぜったい居てほしい。ここに来てほしい、現われて、
じっと見つめてほしい、まだちゃんとどこかにいるということを、
信じられるようになりたい。なのに、大人になるにはそれは無理。

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わかったふりをして、いい子になろうとしても、ときどき爆発して
ほとばしる感情が、静かな画面からつたわってきて。建前と本音の
せめぎあいの気配が、しじゅう漂っていて。天真爛漫な転校生への、
嫉妬と憧れに揺さぶられる姿が、こわれそうなガラスのよう。

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その喪失が、これほど深い罅を刻んでしまうなんて、母親、というか
一家の主婦はほんとうに、太陽のような存在感であるのでしょうね。

ジョイランドシネマ沼津にて、11月

聴こえてる、ふりをしただけ 公式サイト
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by habits-beignets | 2012-11-30 20:36 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 眠れぬ夜の仕事図鑑

真夜中でも、どこかしら灯りがともっている、いまの世の中。
誰もが眠っているわけではなく、起きて働いているひとたちがいて。
そんな事情は、もちろんヨーロッパでもおなじことで。

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いろんな場所で、見張ったり、取り締まったり、見守ったり、話し合ったり、
助けたり、眺めたり、組み立てたり、祈ったり、報道したり、仕分けたり、
聞いてあげたり、訓練したり、慰めたり、介抱したり、諌めたり、説得したり、
見送ったり、掃除したり、葬ったり、調べたり、騒いだり……ふう。

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ぜんぶで21の、まったくべつの場面が、なんの説明もなく、いれかわり
たちかわり、登場して、それぞれ、静かだったり騒がしかったり、
困っていたり楽しそうだったり沈んでいたり緊張してたり、さまざまだけれど、
みんな、必死でがんばって生きているかんじが、無言のうちにせまってきて。

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物語として、とくにつながっているわけでなくても、あの災害に巻き込まれた
子供を、このテレビ局は報道しているのでは、とか、国境での争いごとのために
法王は祈っているのでは、とか、議会で解決されないから、ジプシーたちは
さまよわなければならないのでは、とか、いろいろ想像が膨らんできて。

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黙って存在している事実たちを、眺めているうちに、世界のあちこちに
起こっている、解決が待たれている出来事が、おなじ夜空をまたいで、リンク
しているような、現実の物語が立ち上がってきて、闇をさまよう、あるいは、
さまよう誰かを助けようと、守ろうとするひとびとに、気持ちが寄り添って。

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暗がりの不安を、見知らぬ誰かと分かち合って、うごめているひとびとが
世界のいたるところに、ちらばっている光景が、こちらの好奇心を刺激しつつ
映しだされ、目をみはっているうちに、終焉の喧噪に。生まれたり、闘ったり、
営んだり、そして、死んでしまったり、ぎゅっとつまった一夜の物語。

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あなたが眠っている間にも、ひとびとの営みはどこかであかるく照らし出され、
そんな現代を、肯定するも否定するも、事実はこれ、という潔さは、きっと、
『いのちの食べかた』と、通じていて。全国でも上映館が少ないレアものです。
異国の夜を覗くことのできるチャンス、見逃す手はないですよ。

ジョイランドシネマ沼津にて、11月

眠れぬ夜の仕事図鑑 公式サイト
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by habits-beignets | 2012-11-04 19:54 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー