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『マッピー』用ボーダー

映画 めぐり逢わせのお弁当

インド映画といえば、歌って踊ってキラキラまばゆい、が定番ぽいですけど、
ちょっと意外な、そこでの暮らしぶりが如実につたわってくる、しっとり作品。

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インドのムンバイのお弁当事情は、日本ではちょっと想像つかないシステム、
奥さんがつくったお弁当を、プロの配達屋さんが、旦那さんの職場に届ける、
それが絶対にまちがわない、というのが評判らしいんですが、ごくごくまれに、
まちがうことも、それで、見知らぬひとの机の上に、苦心作のお弁当が。

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旦那さんと気持ちをかよわせたい、その一心でお弁当に四苦八苦の若奥さん、
上の階のおばさんからは、窓の外に調味料が、主婦たちの素朴な日常から、
まるで通勤ラッシュの、ガタガタ揺すられ運ばれるたくさんのお弁当が
行き着く先は、整然と並んだ何列ものデスク、どこか寂しげに働くおじさん。

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思いがけなく誰かの手料理をたべてしまったら、けっこうドキッとするのでは、
こしらえた側も、自分の愛の証を、まったくの他人に呑み込まれたかんじでは、
でも、ぺろっと残さず受け入れられたら、素直に救われた心持ちになるのかも、
誰かが、自分を認めてくれる、自分は誰かとつながっている、その実感。

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仕方なくの説明、挨拶から、お弁当箱は手紙を運ぶ小包めいて、円筒型の金属の
積み木みたいな、お弁当、お昼じかんを待ちきれない、挙動不審なおじさんの、
少年のような戸惑い、ときめき、閉ざされていた心の扉が、いつのまにか、
ひらかれて、ほどけてゆく表情の目に映るのは、ほのかに差し込んできた光。

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まちがっているとわかっていても、食べているのが夫ではないと知っていても、
気に入ってもらおうと、満足してもらおうと、お弁当を作りつづける奥さんは、
人知れず抱えている悲しみ、せつなさを、吐露する相手がきっと欲しくて、
やっと見つけた命綱だったのかもしれなくて、だからまちがいを修正できない。

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でも、何がまちがっていて、何が正しいのか、きっと誰もわからない、
というかたぶん、まちがいとか正しいとか、ほんとうは、そんなものはなく、
幸福を求めることを諦めないことが、どんな状況でもたいせつなのかも、
夫が冷淡だったり、家族を亡くしたり、病だったり、天涯孤独だったりでも。

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ところでインド、経済発展の影で、なにか損なわれてしまうものもありそうな、
デスクワークはちょっと不思議に旧式で、スマホの時代に奇妙な新旧混在、
それにしても、驚くべき正確さを誇るお弁当配達システムの発祥は19世紀末、
コンピュータも舌を巻く完璧さらしいんですが、ブレない精神のなせる技?

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そして物語はどこまでもたぶん続いてく、映画が終わっても人生は終わらない。

シネプラザサントムーンにて10月

めぐり逢わせのお弁当 公式サイト
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by habits-beignets | 2014-10-31 13:58 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 フランシス・ハ

好きとか悲しいとか腹たったりとか、いろんな気持ちが四方八方ちらばって、
まとまらないまま、浮かれたり落ち込んだり、始終じたばたもがいてばかり。

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ニューヨークで暮らすフランシスは、ルームメイトのソフィーが超大好き、
とにかく一緒にじゃれあっていられれば、もうそれだけでじゅうぶん幸せ、
だったのに! いきなり無情な転機が! なんとかどこかにすがろうと、
まさに行き当たりばったり、けれど真剣に、自分のきもちをまっすぐに。

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どこに行くにもリュックサック、のしのし歩き、どたどた走り、地に足つかず、
夢みる少女なんですね、いつか一流ダンサーにきっとなれる、それを疑わない、
でも何度も触れられる年齢は、少女にしてはかさ高く、まわりはみな、
いつのまにかステップアップ、かわいがられてやさしくされても、どこか孤独。

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一瞬一瞬のかがやきを、ずっとそのままとどめたくて、でも否応もなく
時間の波にもまれながら、流されて、思いどおりにいかないことだらけの
人生は受け入れがたく、でも、けっきょくそうして生きてゆくしかないことが、
愛おしいひとたちとのかかわり合いのなかで、自然に、わかってくる気配。

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パッとその場のおもいつきで、パーティーに出たり、知り合いを呼び出したり、
部屋にころがりこんだり、いきなり外国に飛んだり、きちんと将来を見据える
ことを避けてしまう、大人から見れば、それははがゆく、幼い愚かしさ、でも、
そんなあれやこれやをくぐらないと、自分で立つ力は、手に入らないのかも。

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あちこち無駄に駆けまわってるだけのようでも、その駆けまわった足腰が
あるからこそ、すっくと堂々立ち上がることが、たぶん、できる。
目先のことで精一杯でも、自分なりに必死に対処していれば、いつのまにか、
どこかにつながる扉がひらいている、たしかにそれは20代にたどる道筋かも。

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ソフィーとベタベタイチャイチャしてたときには、頼りなげな子供だったのに、
いくつもの、一つ一つはささやかでも、行く先々でぶつかる試練に、傷ついたり
苦悩するうち、静かで穏やかな、自分との向き合い方が、わかってきたようで、
タイトスカートにパンプス姿が意外に様になったのは、きっとだから。

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大人になるっていうか、社会の一員になるってことは、自分に課せられた
役目みたいなものを、なんとなく実感として理解できることのような。
でも、いつまで経ってもずっと道はきっと続く、だから、たのしい、
「フランシス・ハ」ていうのは、そういうことっていう微笑ましさが。

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モノクロ、既視感、わたしたちの物語。

ジョイランドシネマ沼津にて、10月

フランシス・ハ 公式サイト
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by habits-beignets | 2014-10-11 12:21 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー