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『マッピー』用ボーダー

映画 涙するまで、生きる

原作は、アルベール・カミュ。
生きてゆく、その道程の光と影、ゆたかさ、意味深さが切切と。

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フランスからの独立運動のさなか、荒涼と赤茶けた山間を背景にぽつんと学校、
そこに集い、まなぶ子供たちの目は、キラキラ、驚きや喜びでおどり、輝き、
中年の男性教師の彼らを見守るまなざしは、やわらかで、ささやかな希望の光を
見いだしているかのよう、民族のちがいはあっても、そこに壁はなさそうで。

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けれどアルジェリア、激しさ増す戦争の気配、子供たちとの平穏な日々にも、
どことなく陰りが、それでも静かでつましい営みを守るつもりの教師のもとに、
不意にやってきた招かれざる客、いとこ殺しの罪人を、山向こうの裁判所へと
送るようにと命令が、そんなの無理ただの教師だ、と突っぱねてはみたものの。

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どうせ死罪になる裁判にわざわざ連れてゆくなんて、と強く拒絶、けれど、
目の前の罪人のこれからを、案じる気持ちが、やはり徐々にふくらんで、
やむなく出発、その凛々しさ、たくましさといったら、えっこの人教師よね、
銃の扱い方、ただ者ではなさそうだけれど、その身の上がおもんばかられて。

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1954年、フランス語とアラビア語が入り交じる北アフリカで、いちめん
土はだと砂利だけが続く道なき山を越える旅が、いつしか、教師と罪人を
同士のようにむすびつけてゆくのだけれど、それはたぶん、彼らふたりが、
どの軍の側でもなく、ただ生きのびることだけを、切実に欲しているから。

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いったい、誰に追われて、誰に狙われて、誰に殺されるか、油断ならない、
わけのわからない混乱のなか、掟や命令や争いに、翻弄され続けるのだけれど、
ふたりは、どこにも身を委ねず、強く主張しないながらも、彼らなりの考えと、
気持ちだけをよりどころに、無事に目的を果たそうとする、一途に。

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なぜ、そこまでして裁判を受けたいのか、思い詰めた理由を吐露した罪人。
フランス人でもアラブ人でもなく、両者からよそ者あつかいされた教師。
貧しさをしのぐためだけの人生を送ってきた罪人と、素晴らしい一瞬の
存在を語る教師とのあいだには、皮肉にも生きてゆくよろこびの気配が。

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思想や道理、組織の力にしばられて、個々の生命、幸福を、徹底して排除する
終わりなき争いを目の当りにしたとき、では自分はどうするべきか、自分の力で
考えて決めることの尊さ、大切さが、彼らふたりの姿勢からつたわって、
小さくても凡庸でも、手の届く幸せを求めることが、平和への道なのかも。

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北アフリカの大地の映像がことごとく美しく、こちらも旅をしているかのよう。
ヴィゴ・モーテンセンはプロデュースもしてるんですね、素晴らしかった。

シネプラザサントムーンにて10月

涙するまで、生きる 公式サイト
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by habits-beignets | 2015-10-10 03:48 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー