映画 トイレット
2010年 10月 17日
きれいなものを見てしまうと、欲しくなってとまらなくなるのって、欲張りなんじゃないかしらって、ときどき、お洋服とか靴とかを欲しくなってしまう気持ちを、不思議に感じてしまうことがあります。
でも、それでいいんだって、励まされました。
『かもめ食堂』の、荻上直子監督の『トイレット』は、カナダの3きょうだいが、母が亡くなる直前に呼び寄せた彼女の母、つまり祖母と、奇妙な共同生活をするお話。
そもそも、性格やら病気やらの問題で、意思の疎通がスムーズにおこなわれているとはいえないきょうだいに、肉親とはいえ、初めて会った言葉のつうじない外国人が加わる。
遠慮しながら、戸惑いながら、苛立ちながらのコミュニケーションに、はらはらさせられたり、微笑をさそわれる。
コミュニケーションて、他者とつながろうと努力するのって、まず自分というものがはっきり自分にわからないと、できないことなのかもしれない。
誰かにバカにされるんじゃないかとか、誤解されるんじゃないかとか怖れないで、自分に自信をもって、自分の思いどおりに自分を表現する勇気をもつことがたいせつで。
パニック障害で引きこもっていた長男のモーリーが、いちばん最初にそのことに気がついて、言葉なんか通じなくても、奇異の目で見られるかもしれないとわかっていても、まわりのひとびととつながろうとする姿に、勇気づけられる。
エアギターだって、フェイクじゃない、と真剣さをみせる妹のリサが愛らしく頼もしい。
おしゃれも立派なひとつの自己表現なのだなあ、と気づかされました。
鮮やかな色のお手製ロングスカートを見て。
「クール」なのは、そのスカートなのではなくて、それを身にまとうひとの心意気、なのだと思う。
映画そのものも、とてもクール。
もたいまさこの、キュートな「ばーちゃん」ファッションは、少女ぽかったりマダムぽかったりで、あこがれてしまうし、だってクラシカルな靴までが、とても素敵で、いったいどんな素性なのかと好奇心がくすぐられる。
餃子を焼くのがたいせつなコミュニケーションになったりもしているし、あのヒダヒダのすがたかたちがひしめいているのも、なんだか妙にファッショナブルに見えてしまいました。
シネプラザサントムーンにて、10月。
トイレット 公式サイト
(担当:シダ)
by habits-beignets | 2010-10-17 13:22 | シネマのこと | Comments(0)