映画 終着駅ートルストイ最後の旅ー
2010年 12月 11日
文豪トルストイの奥さん、三大悪妻のひとりと言われているそうです。
あとのお二方は、ソクラテスの奥さんと、モーツァルトの奥さん。
(私ではありません、よかった、うふ。)
でも、なんていうか、そんなの余計なお世話ですよね。
夫婦にはその夫婦なりのありかたというか、愛情があって。
愛情、でもそれが、とても難しいんですけれど。
育て方とか、つたえ方とか。映画を見ていると、胸にせまってきました。
ソクラテスは著名な作家で思想家で、
いろんなたくさんの人から、尊敬されて畏れられて。
でも、奥さんにとってはきっと、ただのキュートな男の子!
わたしの大切なかわいい坊やが、うさんくさい連中にかどわかされている!
彼をいちばん理解して、愛しているのは妻のわたし!
ヘレン・ミレン演じるソフィアの心のさけびが、聞こえてきます。
ソクラテスは最初のほうで、すべての宗教はただ「愛」を説いている、
というようなことを、たしか言っていました。
その、愛の、さまざまなありよう、自然にうまれてくる素朴な愛、
あるいは、思想から派生すべきと思われる壮大な愛、
弱さを慈しむ愛、強さを求める愛、
それらすべてを認めて、守ろうとするときに生じてしまう矛盾や苦悩に、
苛まれて、衰弱してゆく彼の姿が、せつないです。
どの愛もが真実なのに、うまくかみあわないときのもどかしさ。
かみあっていない状態を、端から見れば、そこには憎悪しか
感じられないのかもしれないけれど、
でも、当人たちには愛の存在が確信できる、
そんなことが、あんがい現実には起こっているのかもしれません。
ロシア貴族の威厳たっぷりのヘレン・ミレンの装いも必見。
取り乱しながらも、セクシーで凛々しくて、すてき。
シネプラザサントムーンにて、12月
終着駅ートルストイ最後の旅ー 公式サイト
(シダ)
by habits-beignets | 2010-12-11 13:29 | シネマのこと | Comments(0)