映画 ノルウェイの森
2011年 01月 15日
わたくし、ご他聞に漏れず、村上春樹サマの「文体注射」に、
へろへろにやられちゃって、かつて中毒になったことが。
なのでその、おっかなびっくり、観たわけなんですけれど。
冒頭の、キズキくんを交えての高校生時代を眺めているうち、
もうそれだけで、少しせつなくなってきました。
とても楽しそうでもあるのだけれど、どこか悲しげで痛々しくて。
なんて、ストーリーをすでに知っているからかもしれないのだけれど。
細かな設定など、小説とは当然ちがっているのだけれど、
それでもかなり、とくに台詞など、可能な限り忠実になぞられていました。
そういえば、主人公は「変わったしゃべり方」をしている
ということだったけれど、たしかに松山ケンイチくんのしゃべり方は、
ずいぶん変わった感じで。
全共闘時代の大学の雰囲気が、当時をよく知らないので、
そのままなのかは、よくわかりませんでしたが、
ファッションや小物が、目に鮮やかで楽しめました。
学食の光景、アパートのキッチンの感じ、キチキチのミニスカートなど。
素朴で田舎っぽいかんじの直子と、都会の進んだ女の子のかんじの緑と。
でも、ほんとうは、と、やっぱり思ってしまうのだけれど、
緑さんは、いわゆる「生」の象徴として、主人公をがんがん振り回す
エネルギッシュで太陽みたいな女の子のはずだったのに、すこし物足りず。
下品な言葉を、可愛らしく言い放って、ひそやかな自分の苦悩や悲しみを、
あかるく笑い飛ばそうとする、けなげな女の子のはずだったのだけれど。
直子さんも、たしかに繊細で、傷つきやすい、あやうい感じは見られたけれど、
もっと美しく、消え入りそうな、はかなげな姿を、見てみたかったような。
どこかに、ふとかいま見られてしまう、奇妙な力強さが、
ちょっと気になったりして。
映画で、いちばん魅力的な女性は、ハツミさんだったようにも思えます。
彼女には、唯一リアリティが感じられたというか、普通のけなげさ、苦悩が、
とても、いじらしく、せつなかった。
それから、じつをいえば、レイコさんの大人の女っぷりを、
かなり期待してもいたのだけれど、終盤のやりとりは、なんだかありきたりで、
ちょっとがっかり。
でも、小説の世界を、とてもたいせつにしていることは、つたわってきました。
たとえば、それは、しばしば映しだされる、
森や草原や海などの、人間の世界を超越したような、
厳しさや崇高さが感じられる、自然の風景だったり。
ときおり、耳鳴りのように響いてくる、痛々しそうでもある音楽だったり。
ジョニー・グリーンウッドは、やはり、やってくれましたね、というかんじ。
自分の思い描いていた印象とは、かなり違うと思いながらも、
あるいは、こういう作品だったのかもしれないなあ、などと、
鑑賞後に、原作を読みかえしたりするのも、
またひとつの読書の楽しみになるのかもしれません。
シネプラザサントムーンにて、1月
ノルウェイの森 公式サイト
へろへろにやられちゃって、かつて中毒になったことが。
なのでその、おっかなびっくり、観たわけなんですけれど。
冒頭の、キズキくんを交えての高校生時代を眺めているうち、
もうそれだけで、少しせつなくなってきました。
とても楽しそうでもあるのだけれど、どこか悲しげで痛々しくて。
なんて、ストーリーをすでに知っているからかもしれないのだけれど。
細かな設定など、小説とは当然ちがっているのだけれど、
それでもかなり、とくに台詞など、可能な限り忠実になぞられていました。
そういえば、主人公は「変わったしゃべり方」をしている
ということだったけれど、たしかに松山ケンイチくんのしゃべり方は、
ずいぶん変わった感じで。
全共闘時代の大学の雰囲気が、当時をよく知らないので、
そのままなのかは、よくわかりませんでしたが、
ファッションや小物が、目に鮮やかで楽しめました。
学食の光景、アパートのキッチンの感じ、キチキチのミニスカートなど。
素朴で田舎っぽいかんじの直子と、都会の進んだ女の子のかんじの緑と。
でも、ほんとうは、と、やっぱり思ってしまうのだけれど、
緑さんは、いわゆる「生」の象徴として、主人公をがんがん振り回す
エネルギッシュで太陽みたいな女の子のはずだったのに、すこし物足りず。
下品な言葉を、可愛らしく言い放って、ひそやかな自分の苦悩や悲しみを、
あかるく笑い飛ばそうとする、けなげな女の子のはずだったのだけれど。
直子さんも、たしかに繊細で、傷つきやすい、あやうい感じは見られたけれど、
もっと美しく、消え入りそうな、はかなげな姿を、見てみたかったような。
どこかに、ふとかいま見られてしまう、奇妙な力強さが、
ちょっと気になったりして。
映画で、いちばん魅力的な女性は、ハツミさんだったようにも思えます。
彼女には、唯一リアリティが感じられたというか、普通のけなげさ、苦悩が、
とても、いじらしく、せつなかった。
それから、じつをいえば、レイコさんの大人の女っぷりを、
かなり期待してもいたのだけれど、終盤のやりとりは、なんだかありきたりで、
ちょっとがっかり。
でも、小説の世界を、とてもたいせつにしていることは、つたわってきました。
たとえば、それは、しばしば映しだされる、
森や草原や海などの、人間の世界を超越したような、
厳しさや崇高さが感じられる、自然の風景だったり。
ときおり、耳鳴りのように響いてくる、痛々しそうでもある音楽だったり。
ジョニー・グリーンウッドは、やはり、やってくれましたね、というかんじ。
自分の思い描いていた印象とは、かなり違うと思いながらも、
あるいは、こういう作品だったのかもしれないなあ、などと、
鑑賞後に、原作を読みかえしたりするのも、
またひとつの読書の楽しみになるのかもしれません。
シネプラザサントムーンにて、1月
ノルウェイの森 公式サイト
by habits-beignets | 2011-01-15 17:22 | シネマのこと | Comments(0)