人気ブログランキング | 話題のタグを見る

映画 ツリー・オブ・ライフ

ふだん、じっさいに見えているものにだけ、囲まれて、あるいは、
つながって、自分は存在しているような気になっているのだけれど、
そうではない、ということが、じわじわ伝わってくる映像の数々でした。

映画 ツリー・オブ・ライフ_b0209183_0272326.jpg

暗闇にゆらめく光と、なにか尊厳なものに対する語りかけが、物語への
導きとなっているのだけれど、映しだされた光景を眺めつづけていても、
はっきりとした説明はなされず、ただ、ひとびとの悲しみ、苦しみ、
切なさを、推しはかリながら、引きずられるように、傍観するだけ。

映画 ツリー・オブ・ライフ_b0209183_02849.jpg

まるで、タイムトラベルでもしているかのような、場面から場面への
ジャンプは、ショーン・ペン演じる、中年となった息子の視点から
とらえられたものなのか、あるいは、確固たる事実として、神の視点が、
私たちに語りかけてくるものなのか、圧倒されるような世界のひろがりで。

映画 ツリー・オブ・ライフ_b0209183_028521.jpg

アメリカのどこかの、平凡な家族のなかでの、葛藤やいたわりも、
所詮、神に与えられた苦難や慈愛でしかないのかと、やりきれない
気持ちにさいなまれる一方で、それでも無条件に愛してくれる何者かの
存在を、信じようとする祈りのようなものが、息子の嘆きに聞こえてきます。

映画 ツリー・オブ・ライフ_b0209183_18552731.jpg

ショーン・ペン、ブラッド・ピットという豪華な顔ぶれが話題になりそうなの
だけれど、じつは彼らが映っている時間は、映画全体のほんの一部のような
印象で。というか、人間ひとりふたりの具体的な悩み事やストーリーなど、
生命のすべての歴史のなかで、縷々として続いてきた事実でしかないのだと。

映画 ツリー・オブ・ライフ_b0209183_030957.jpg

キリスト教あるいは聖書に通じていると、かなり入りこめるところが
あるのでは? と推測できる内容であったけれど、それらを知らなくても、
壮大な宇宙、歴史のなかで、自分たちが生かされていることが、感じられます。
誰かたいせつなひとを亡くしたときに感じる、不条理に対する答えとかも。

映画 ツリー・オブ・ライフ_b0209183_1856833.jpg

ところで、ジェシカ・チャステイン演じる母親の、ワンピースがすてき。

シネプラザサントムーンにて、8月

ツリー・オブ・ライフ 公式サイト

by habits-beignets | 2011-08-24 19:07 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

<< 映画 神々と男たち 映画 ソウル・キッチン >>