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映画 ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

たいせつなひとを失う、という経験は、誰にでもかならず訪れるもの
なのでしょうけれど、それがあまりに突然、あまりに理不尽なかたち
だった場合のやりきれなさって、どうなんでしょう。9・11のお話。

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わが目を疑うような大惨事の光景は、恐ろしく衝撃的なものだったけれど、
それによって、生命を絶たれた数多のひとたちのそれぞれの人生にまで
踏み込んで想像することは、ありませんでした。たぶん、恐かったから。
ひとつの社会的な事件として、遠くから眺めることで、済ませたかったような。

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けれど、否応もなく、普段の生活が破壊されたひとたちは、実際に大勢
いたわけで、それでたとえば、ありえないほど慕っていた父親をあの事件で
奪われた少年がいたら、こんなふうにもがくのでは、という物語。
遺体にさえ、別れをつげることもできずに残された、苦しみとの葛藤。

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少年期だからこその、繊細さというか残酷さというか、思考力、想像力は
かなり長けているのに、自分を律したり宥めたりすることは、できないで、
ただやみくもに、父親の未知の部分に触れようと、奔走するさまは、
それで何かが、解決するとも思えないのに、馬鹿馬鹿しいとはいえない。

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愛するということは、求めるということで、いつまでも諦めずに
探し続けることだということが、少年の無謀ともいえる冒険が、切々と
訴えかけてくるかのよう。父親の、ほんのひとかけらだけでもいいから、
見つけたい、という、からだの奥底から湧いてとめられない欲求。

そんな彼がめぐりあったひとたちが、みな彼に同情して、あたたかな
コミュニケーションがあって、という筋書きは、でもちょっと出来過ぎで
ハリウッド調でもあるのだろうけれど、明るくできるものならば
可能なかぎり明るく、ということでもあったのかもしれません。

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中盤から登場する「間借り人」の、謎めいた感じは、いくらか消化不良の感が
あるけれど、自らの想像力ではあきたらない方には、原作本がお勧めかも。
くり返される大惨事の、くり返される苦悩が、くわしく語られて、それでなお、
希望をあきらめないで、生きてゆく、生きることを覚悟する勇気もつたわって。


シネプラザサントムーンにて、2月

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い 公式サイト

by habits-beignets | 2012-03-12 00:12 | シネマのこと | Comments(0)

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