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映画 嘆きのピエタ

ドキドキの序盤、痛そうな場面がいかにも貧しげな鉄工場たちを舞台に。
主人公の男性の現れかたがまた、まさに不気味な悪魔のつかいのようで。

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借金の取り立ての様子が、つぎつぎ描かれるのですが、その無慈悲ぶりは
表情ひとつ変えないで、機械的に任務をこなす、まるでロボットのよう。
やられる側からの罵声にも、まったくこたえる気配さえない、憎々しさ。
それが、いきなり母親を名乗る女性の出現に、ほとばしる感情が。

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疑って証拠をもとめても、ごり押しのいきおいで、ストーカーさながらに、
つきまとう自称母親に、当惑しながら反発しながら、それでもじきに部屋に
いれてしまうのは、信じたい、本当は母に会いたい、という強い欲求に、
あらがえなかったから。愛する対象をもつことの、興奮がからだに広がって。

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でも、愛を、大切なひとの存在を知れば、悲しみや迷いや痛みを知ることに。
そして恐れ、何かを失うことを恐れてしまえば、もはや無敵ではいられない。
愛とは? 金とは? 命とは? それまで心にとめることもなかった疑問が
あふれてくるのは、心のうちに涌き出した感情に、戸惑ってしまうからでは。

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たぶん、それまで、無機的な風景にしか映らなかった、借金を返さない輩が
巣くうだけの工場町が、そこに根づいている家族たちの暮らしの、切なさや
悲しさが、ちいさな工場たちの間をぬって流れる川を、高い所から見下ろす
その目に、浮き上がってせまってくるほどに、つたわってきた気配までして。

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けれど、それで、過去の残虐な行為が、簡単に許されてしまうのかというと、
そんなにうまくはいかなさそうな成りゆきが。愛をもって愛をおしえて、
愛で報いる、その徹底ぶりが、恐ろしいおぞましい、というか、人の思惑を
超えて、愛はあらゆるものを飲み込み、作用し、暴力的にひろがるような。

終盤の主人公の、体を張っての訴えは、滑稽なほどに哀れで。そのあとの
構図は、どれも詩的、凄惨でエグいけれど美しいファンタジー、それでも、
愛を知ることができれば、幸福な瞬間はあったのではという救いの光が。

ジョイランドシネマ沼津にて、9月

嘆きのピエタ 公式サイト

by habits-beignets | 2013-09-09 04:00 | シネマのこと | Comments(0)

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