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映画 タイピスト!

ちいさな田舎の雑貨店にひっそり置かれたタイプライター。
たいせつそうにそうっと抱えて、運ぶ、少女は愛らしく、そして、
なんとも色鮮やかなアニメーションのオープニングは楽しくて!

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どこかなつかしい、たとえば子供のころテレビでみた「奥様は魔女」っぽい
雰囲気の、あかるくはじける音楽にのって、あらわれる登場人物たちは
ポップな漫画で描かれるような、キビキビした表情とうごき、時代は50年代
場所はフランス、ともかくファッションがすてき、着せ替え人形をみてるよう。

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秘書募集の貼り紙にあつまってきた、びしっときめてきた女性たちのいでたち。
ウエストをキュッとしぼって、ふんわりのスカート、あるいは先細りのタイト、
おしゃれの基本はリボン、くっきり色鮮やかなワンピースやスーツは、どこか
「それいゆ」の中原淳一の世界が思い起こされて、うれしくて見とれてしまう。

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一本指で猛烈ないきおいで、タイピングしまくる女の子がまた、とびきり
キュート、天然で不器用な彼女を、秘書としては最低とこきおろしながらも、
息があがるほど夢中になって、キーを打つ才能をみそめて、上司が猛特訓を
はじめる、というプチスポ根のエッセンス含みの物語は、王道のラブコメに。

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ドジで引っ込み思案の田舎の女の子だとおもってたら、意外に大胆だったり、
いかにも堅物の上司に、せつなく悲しい過去がかいまみられたり、彼らの
感情の機微が、タイピングのトレーニングに彩りをそえて、順調だったり
暗礁に乗り上げたり、希望に輝いたり、絶望に突き落とされたり、の起伏に。

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けっこう早いなあとおもわれた展開も、途中予想外の問題に突き当たって、
恋の苦悩、愛するがゆえの選択のやるせなさが、物語の奥行きをひろげて、
相手のしあわせを真剣に願うきもちって、難しいですよね、その表現が、
「こわい」という台詞に、「みんなそうよ」答えるやさしさが、身にしみて。

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ラストの大劇場は、これまでの特訓の成果、恋の逡巡の落とし前が花ひらき、
タイピングする彼女のゆたかな表情に、それはありありと浮かびあがって、
華やかなショーの舞台と、温もりに満ちたこれまでとのコントラストは、
まぶしくて、新式のピンクのタイプライターよりも大切なものの気配が。

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この作品を撮るにあたって、主演女優は、ヘップバーンの映画をたくさん
観るように指示されたとか。そういえば彼女へのオマージュに満ちている
ような。舞台のうえとしたとの視線のぶつかりは『ローマの休日』ぽく。

シネプラザサントムーンにて10月

タイピスト! 公式サイト

by habits-beignets | 2013-10-21 17:24 | シネマのこと | Comments(0)

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