映画 ベニシアさんの四季の庭
2013年 11月 05日
静けさににじむ、ドラマチックな季節のうつろいの美しさ。難しくても、
自らのこころの声に、したがうことの積み重ねで、探りあてられる場所。
京都大原、100種類以上のハーブにかこまれての、古民家での暮らしはもう
憧れそのもので、満足げな、まわりすべてを、いとおしそうに微笑みかける
貴婦人は、英国淑女のおもかげありながらも、日本古来の風景になじんで
そこがどこなのか、曖昧にさせてしまうほど、彼女そのものの王国のようで。
ここ懐かしい、ひさびさに訪れたという彼女の生家が映って、えっ嘘でしょ、
お城ではないですか、広大な敷地で、働いているひとたちと、話すことも
ままならなかったお姫さま、そこに居場所を見いだせず、ひとりインドへ、
東京へ、そして京都へ、ひととの出会いで運命がきりひらかれてゆく面白さ。
あてもないまま、異国へ流れついたお姫さまが、自らの感性と情熱をたよりに、
かけがえのない、友人や、暮らしのいしずえを、ゆるり確実に獲得してゆく
さまが、表情ゆたかな日本の四季と、重ねあわせながら、描かれるのだけれど
色とりどり、みずみずしい草花に、囲まれたしあわせにも、奥深い背景が。
モンペなんて穿いてるの、ベニシアだけなんじゃない、大らかにわらう
直売所のおじさん、彼女のいでたちにはそう、日本の古い文化や慣習への
リスペクトがかんじられて、畳替え、柿渋での家具みがきなど、いまでは
あまり見られなくなった、いにしえからの知恵がていねいに、踏襲されて。
古民家を改修するのがたのしかった、ハンドメイドシステムキッチンには、
さまざまな国のタイルが組み合わされて、厚みがちがうから大変だったと、
でも、だからこそのうつくしさが、異国なのにどこかリンクしていそうな、
それぞれが、調和して、醸し出される、奥行きのある、楽しげなリズムが。
大原に落ち着くまで、出会ったり、別れたり、幸福感にみちたりたり、
苦しみに倒れ込んだり、紆余曲折あったこと、身近なだれかへの感情が
単純な色合いではないこと、それらすべてが、庭をうめつくすハーブに
つながっているようで、甘いわけではない、苦くさわやかで、崇高な香り。
古い屋敷でつくられる、イギリス仕込みの料理や、おやつとの
コントラストがすてき、作り置きのビンに貼られた英語のラベル、
ル・クルーゼの、あざやかな赤いなべも、妙に似合ってて。
ジョイランドシネマみしまにて、11月
ベニシアさんの四季の庭 公式サイト
自らのこころの声に、したがうことの積み重ねで、探りあてられる場所。
京都大原、100種類以上のハーブにかこまれての、古民家での暮らしはもう
憧れそのもので、満足げな、まわりすべてを、いとおしそうに微笑みかける
貴婦人は、英国淑女のおもかげありながらも、日本古来の風景になじんで
そこがどこなのか、曖昧にさせてしまうほど、彼女そのものの王国のようで。
ここ懐かしい、ひさびさに訪れたという彼女の生家が映って、えっ嘘でしょ、
お城ではないですか、広大な敷地で、働いているひとたちと、話すことも
ままならなかったお姫さま、そこに居場所を見いだせず、ひとりインドへ、
東京へ、そして京都へ、ひととの出会いで運命がきりひらかれてゆく面白さ。
あてもないまま、異国へ流れついたお姫さまが、自らの感性と情熱をたよりに、
かけがえのない、友人や、暮らしのいしずえを、ゆるり確実に獲得してゆく
さまが、表情ゆたかな日本の四季と、重ねあわせながら、描かれるのだけれど
色とりどり、みずみずしい草花に、囲まれたしあわせにも、奥深い背景が。
モンペなんて穿いてるの、ベニシアだけなんじゃない、大らかにわらう
直売所のおじさん、彼女のいでたちにはそう、日本の古い文化や慣習への
リスペクトがかんじられて、畳替え、柿渋での家具みがきなど、いまでは
あまり見られなくなった、いにしえからの知恵がていねいに、踏襲されて。
古民家を改修するのがたのしかった、ハンドメイドシステムキッチンには、
さまざまな国のタイルが組み合わされて、厚みがちがうから大変だったと、
でも、だからこそのうつくしさが、異国なのにどこかリンクしていそうな、
それぞれが、調和して、醸し出される、奥行きのある、楽しげなリズムが。
大原に落ち着くまで、出会ったり、別れたり、幸福感にみちたりたり、
苦しみに倒れ込んだり、紆余曲折あったこと、身近なだれかへの感情が
単純な色合いではないこと、それらすべてが、庭をうめつくすハーブに
つながっているようで、甘いわけではない、苦くさわやかで、崇高な香り。
古い屋敷でつくられる、イギリス仕込みの料理や、おやつとの
コントラストがすてき、作り置きのビンに貼られた英語のラベル、
ル・クルーゼの、あざやかな赤いなべも、妙に似合ってて。
ジョイランドシネマみしまにて、11月
ベニシアさんの四季の庭 公式サイト
by habits-beignets | 2013-11-05 23:00 | シネマのこと | Comments(0)