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映画 ベニシアさんの四季の庭

静けさににじむ、ドラマチックな季節のうつろいの美しさ。難しくても、
自らのこころの声に、したがうことの積み重ねで、探りあてられる場所。

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京都大原、100種類以上のハーブにかこまれての、古民家での暮らしはもう
憧れそのもので、満足げな、まわりすべてを、いとおしそうに微笑みかける
貴婦人は、英国淑女のおもかげありながらも、日本古来の風景になじんで
そこがどこなのか、曖昧にさせてしまうほど、彼女そのものの王国のようで。

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ここ懐かしい、ひさびさに訪れたという彼女の生家が映って、えっ嘘でしょ、
お城ではないですか、広大な敷地で、働いているひとたちと、話すことも
ままならなかったお姫さま、そこに居場所を見いだせず、ひとりインドへ、
東京へ、そして京都へ、ひととの出会いで運命がきりひらかれてゆく面白さ。

あてもないまま、異国へ流れついたお姫さまが、自らの感性と情熱をたよりに、
かけがえのない、友人や、暮らしのいしずえを、ゆるり確実に獲得してゆく
さまが、表情ゆたかな日本の四季と、重ねあわせながら、描かれるのだけれど
色とりどり、みずみずしい草花に、囲まれたしあわせにも、奥深い背景が。

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モンペなんて穿いてるの、ベニシアだけなんじゃない、大らかにわらう
直売所のおじさん、彼女のいでたちにはそう、日本の古い文化や慣習への
リスペクトがかんじられて、畳替え、柿渋での家具みがきなど、いまでは
あまり見られなくなった、いにしえからの知恵がていねいに、踏襲されて。

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古民家を改修するのがたのしかった、ハンドメイドシステムキッチンには、
さまざまな国のタイルが組み合わされて、厚みがちがうから大変だったと、
でも、だからこそのうつくしさが、異国なのにどこかリンクしていそうな、
それぞれが、調和して、醸し出される、奥行きのある、楽しげなリズムが。

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大原に落ち着くまで、出会ったり、別れたり、幸福感にみちたりたり、
苦しみに倒れ込んだり、紆余曲折あったこと、身近なだれかへの感情が
単純な色合いではないこと、それらすべてが、庭をうめつくすハーブに
つながっているようで、甘いわけではない、苦くさわやかで、崇高な香り。

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古い屋敷でつくられる、イギリス仕込みの料理や、おやつとの
コントラストがすてき、作り置きのビンに貼られた英語のラベル、
ル・クルーゼの、あざやかな赤いなべも、妙に似合ってて。

ジョイランドシネマみしまにて、11月

ベニシアさんの四季の庭 公式サイト

by habits-beignets | 2013-11-05 23:00 | シネマのこと | Comments(0)

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