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映画 大統領の料理人

ごちそう、もちろん好きです。彩りよく美しく盛られた料理のお皿、
目の前に運ばれた瞬間、わくわく、でも、いつもそれでは飽きるかも。

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いきなり、大統領官邸へとむかう車に乗せられた、田舎でレストランを営む
女性が、その大役を聞かされて、母や祖母からうけついだ、素朴な料理しか
できませんと、謙遜まじりにことわるのですが、それこそ、大統領の望みだと、
たしかに気持ちはわかるような、いつも気合いの入った料理では、疲れるかも。

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大勢の料理人たちが、厨房でせわしくうごいて、見るからに、彼らの料理は、
マニュアルどおりで、個性がなさそう、自分たちの有能さを表現するための
職場でしかなさそうで、食べるひとへの、愛情というか、おいしさを味わう、
至福のときを、すごしてほしいと、真剣に願う気持ちは希薄にみえて。

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食材調達、メニュー決定、調理時間など、さまざまな制約のなかでも、
ともかく大統領が満足できるよう、祈ってでもいるかのように、料理に
いそしむ姿は、職業の枠をこえた、たとえばやっぱり母親めいて、だから、
彼女は求められたにちがいない説得力、皿が空いたかどうか気になって。

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けれど、国の中枢の特殊な場所、要人の胃袋を管理するには、いろいろな
しがらみやら横やりやらやっかみやら、純粋においしい料理を作りたいだけ
なのに、邪魔の多さにうんざりしたりも、それでも闘ってしまうのには、
料理を通じて、わかりあえる関係に、励まされるところがあったのかも。

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実話にもとづいてのお話ということだけれど、ミッテラン大統領もかなり、
料理には造詣が深かったらしく、料理本についての会話の場面は微笑ましく
興味深く、昔の料理本はよかった、との感想には、なるほど、と思わされて
つまり、料理を愛情表現、愛の物語と、感じる情緒が、現代は欠けてるかも。

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おいしいものを食べるよろこびを、味わってほしい、その一心で料理する
姿勢のたいせつさ、強さが、静かにつたわってきて、それは、彼女が南極で
腕をふるう場面でも、如実にあらわれて、過酷な状況ではたらく男たちが
みな頼りきって、彼女を慕う食堂での和やかさこそ、本来あるべき姿のようで。

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こっそり、厨房で、ワイン片手に、届いたばかりのトリュフを味わう場面が
印象的。絶えず緊張を強いられる境遇では、こんな夜食がごちそうだったかも。
ところで、主人公の女性の、ノーカラーのコートが、どうにもおしゃれで、
おばさんぽいけど、なぜかかっこいい出で立ちは、フランスだから?

シネプラザサントムーンにて12月

大統領の料理人 公式サイト

by habits-beignets | 2013-12-03 14:02 | シネマのこと | Comments(0)

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