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映画 毛皮のヴィーナス

舞台をライブで、ってほとんど観たことないのですけれど、その臨場感、
躍動感、緊張感を、堪能できる映画って、だからとても、ありがたいです。

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ポランスキー監督、そういえば以前も『おとなのけんか』で、舞台劇、
みごとに映画にしてくれてましたけど、今回もその魅力全開!引き込まれて。
冒頭の、いかにもこれから、あやしい物語に入り込んでゆくかんじ、
扉をひらけば、がらんとした劇場で、ひとりわめく、神経質そうな男が。

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舞台劇の演出家、その主演女優のオーディションに遅れてきた女優の二人が、
オーディションをやる、やらない、の、のっけからの丁々発止、哀願したり、
激高したり、なだめたり、愚弄したりの、めまぐるしいやりとり、一瞬にしての
互いの立場の変わりよう、さっきはすがってお願いしてたのに、今度は足蹴に。

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マチュー・アマルリックと、エマニュエル・セニエ、このおじさんおばさん
コンビ二人だけで、物語は展開してゆくのですが、一瞬たりとも目が離せない、
演出家と女優だったかとおもうと、ホテルで出会ってあやしい関係になる男女、
愛の崇高さを語る芸術家と社会的なものさしではかる婦人、あっちへこっちへ。

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ピンと張りつめてちょっとのゆるみもみせない、緊張の糸、物語の場所は、
仮に設置されたような、薄暗い舞台なのだけれど、二人のやりとりに従って、
大昔のアブノーマルな世界だったり、殺風景なオーディション会場だったり、
芸達者な二人の俳優が、まさに闘うように繰り広げる、多面性といったら!

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相手の言動によって、自分の未知の部分が引き出され、呆然とするまもなく、
さらに向こうの攻撃にさらされて、応戦するのが精一杯、そんな、面の皮を
一枚一枚、あっというまにはがされて、おろおろしたり抵抗したりの
みっともなさを、マチュー・アマルリックが表情ゆたかに、キュートにさえ。

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毛皮ではない、ぼろぼろニットのショールも、振る舞いしだいで、いかにも
危険なしろものに、売れない女優はいったい何者? 正体があかされそうで、
でたらめそうで、なのに、ときおり戦慄せずにはいられない、洞察力、理解力、
最初は愚かにしかおもえなかったものたちの、突然の存在感は、偶然それとも?

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息もつかせぬ1時間半、たった二人の舞台劇の奥行きが底なし沼のようで、
ラストはもう、彼のセリフじゃないけれど、ここがどこの世界だか。

ジョイランドシネマ沼津にて2月
※2月27日で閉館! いままでありがとう!※

毛皮のヴィーナス 公式サイト

by habits-beignets | 2015-02-26 18:26 | シネマのこと | Comments(0)

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