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映画 バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

輝いていた過去に追いかけられるのって、かなしくさびしい気分ですよね。
いまのほうが、ずっともっと充実してる、進化してるって言い張りたくて。
落ちぶれぎみの俳優が、じたばた、起死回生もくろむ、物語。

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かつてのスーパーヒーロー、もてはやされて、憧れられて、とはいっても、
ヒット映画でのお話、作り物だったわけだけれど、そんなのわかっていても、
主役はってた俳優も、誰もが知るスーパースター、だから虚実あいまいに、
賞讃していた側も、されていた側も、その血湧き肉踊る世界から抜け出せない。

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時の経過は残酷、夢もいつかは醒めてしまう、けれど負けずに、まがいものの
おとぎ話とはサヨナラ、これからは本物のリアルな、奥深い文学的な世界を
演じることで、複雑で知的な舞台役者として名を馳せよう、その気持ち、
わかる気がします、悔しいものね、若くて愚かだった過去ばかり語られるのは。

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でも、自分で考え、行動して、まわりとの関係を構築してゆくのって、
すごく大変、円熟した大人になるって、そういうことだと思うのだけれど、
年齢を重ねれば、いろいろなしがらみもでてくるし、守るべきものもあるし、
スーパーヒーロー物語みたいに、単純な構成にはなっていない。

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はいあがりたい、と渇望するのは、自分だけではなくて、誰でもおなじ、
少しでも認められたい、たがいの自己顕示欲のバトルは、ショービジネスの
世界では熾烈なんでしょうね、映画、演劇の世界を、おもしろおかしく、
ときに皮肉たっぷりに、この映画じたいが、自虐的に、批評しているようで。

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そう、これ、この映画そのものが、配役だって技ありの、遊びっぷり。
実際にバットマン演じてた俳優が、バードマンでスターだった役を、
からだじゅう、せつなさいっぱい、みなぎらせて演じ、いきなり宙を舞い、
敢然と敵にむかってゆく勇ましさは、ヒーローそのもののイカれっぷり。

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ともかく楽しいんです、突如ありえない敵があらわれて、それを
ありえない力でやっつけて、て、映像で見せられると、思わずワクワク、
こむずかしいセリフの舞台劇で、人間の業みたいなのを語られるのと、
派手なアクションで、英雄のかっこよさ映されるのと、どちらも面白く。

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映画で、舞台で、演劇で、描くことのできるものの、振れ幅のゆたかさ、
人間のなさけなさ、かわいらしさ、せつなさ、というのが、 どこかしら
あたたかなまなざしを介して、つたわってもくるようで、深刻に愛を
語る世界も、能天気にバケモノをやっつける世界も、共存可能な懐の深さ。

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くたびれきったオッサンが、一瞬で、無敵のヒーローに、の場面は圧巻、
さまざまな世界観がリンクしてゆくカメラワークが、すばらしいです。
ヒーローの存在を信じたい気持ちを、後押ししてくれるようでもあって。
オスカー受賞は、映画への愛も手伝っているのかも。

シネプラザサントムーンにて4月

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 公式サイト

by habits-beignets | 2015-05-02 03:55 | シネマのこと | Comments(0)

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