映画 バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
2015年 05月 02日
輝いていた過去に追いかけられるのって、かなしくさびしい気分ですよね。
いまのほうが、ずっともっと充実してる、進化してるって言い張りたくて。
落ちぶれぎみの俳優が、じたばた、起死回生もくろむ、物語。
かつてのスーパーヒーロー、もてはやされて、憧れられて、とはいっても、
ヒット映画でのお話、作り物だったわけだけれど、そんなのわかっていても、
主役はってた俳優も、誰もが知るスーパースター、だから虚実あいまいに、
賞讃していた側も、されていた側も、その血湧き肉踊る世界から抜け出せない。
時の経過は残酷、夢もいつかは醒めてしまう、けれど負けずに、まがいものの
おとぎ話とはサヨナラ、これからは本物のリアルな、奥深い文学的な世界を
演じることで、複雑で知的な舞台役者として名を馳せよう、その気持ち、
わかる気がします、悔しいものね、若くて愚かだった過去ばかり語られるのは。
でも、自分で考え、行動して、まわりとの関係を構築してゆくのって、
すごく大変、円熟した大人になるって、そういうことだと思うのだけれど、
年齢を重ねれば、いろいろなしがらみもでてくるし、守るべきものもあるし、
スーパーヒーロー物語みたいに、単純な構成にはなっていない。
はいあがりたい、と渇望するのは、自分だけではなくて、誰でもおなじ、
少しでも認められたい、たがいの自己顕示欲のバトルは、ショービジネスの
世界では熾烈なんでしょうね、映画、演劇の世界を、おもしろおかしく、
ときに皮肉たっぷりに、この映画じたいが、自虐的に、批評しているようで。
そう、これ、この映画そのものが、配役だって技ありの、遊びっぷり。
実際にバットマン演じてた俳優が、バードマンでスターだった役を、
からだじゅう、せつなさいっぱい、みなぎらせて演じ、いきなり宙を舞い、
敢然と敵にむかってゆく勇ましさは、ヒーローそのもののイカれっぷり。
ともかく楽しいんです、突如ありえない敵があらわれて、それを
ありえない力でやっつけて、て、映像で見せられると、思わずワクワク、
こむずかしいセリフの舞台劇で、人間の業みたいなのを語られるのと、
派手なアクションで、英雄のかっこよさ映されるのと、どちらも面白く。
映画で、舞台で、演劇で、描くことのできるものの、振れ幅のゆたかさ、
人間のなさけなさ、かわいらしさ、せつなさ、というのが、 どこかしら
あたたかなまなざしを介して、つたわってもくるようで、深刻に愛を
語る世界も、能天気にバケモノをやっつける世界も、共存可能な懐の深さ。
くたびれきったオッサンが、一瞬で、無敵のヒーローに、の場面は圧巻、
さまざまな世界観がリンクしてゆくカメラワークが、すばらしいです。
ヒーローの存在を信じたい気持ちを、後押ししてくれるようでもあって。
オスカー受賞は、映画への愛も手伝っているのかも。
シネプラザサントムーンにて4月
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 公式サイト
いまのほうが、ずっともっと充実してる、進化してるって言い張りたくて。
落ちぶれぎみの俳優が、じたばた、起死回生もくろむ、物語。
かつてのスーパーヒーロー、もてはやされて、憧れられて、とはいっても、
ヒット映画でのお話、作り物だったわけだけれど、そんなのわかっていても、
主役はってた俳優も、誰もが知るスーパースター、だから虚実あいまいに、
賞讃していた側も、されていた側も、その血湧き肉踊る世界から抜け出せない。
時の経過は残酷、夢もいつかは醒めてしまう、けれど負けずに、まがいものの
おとぎ話とはサヨナラ、これからは本物のリアルな、奥深い文学的な世界を
演じることで、複雑で知的な舞台役者として名を馳せよう、その気持ち、
わかる気がします、悔しいものね、若くて愚かだった過去ばかり語られるのは。
でも、自分で考え、行動して、まわりとの関係を構築してゆくのって、
すごく大変、円熟した大人になるって、そういうことだと思うのだけれど、
年齢を重ねれば、いろいろなしがらみもでてくるし、守るべきものもあるし、
スーパーヒーロー物語みたいに、単純な構成にはなっていない。
はいあがりたい、と渇望するのは、自分だけではなくて、誰でもおなじ、
少しでも認められたい、たがいの自己顕示欲のバトルは、ショービジネスの
世界では熾烈なんでしょうね、映画、演劇の世界を、おもしろおかしく、
ときに皮肉たっぷりに、この映画じたいが、自虐的に、批評しているようで。
そう、これ、この映画そのものが、配役だって技ありの、遊びっぷり。
実際にバットマン演じてた俳優が、バードマンでスターだった役を、
からだじゅう、せつなさいっぱい、みなぎらせて演じ、いきなり宙を舞い、
敢然と敵にむかってゆく勇ましさは、ヒーローそのもののイカれっぷり。
ともかく楽しいんです、突如ありえない敵があらわれて、それを
ありえない力でやっつけて、て、映像で見せられると、思わずワクワク、
こむずかしいセリフの舞台劇で、人間の業みたいなのを語られるのと、
派手なアクションで、英雄のかっこよさ映されるのと、どちらも面白く。
映画で、舞台で、演劇で、描くことのできるものの、振れ幅のゆたかさ、
人間のなさけなさ、かわいらしさ、せつなさ、というのが、 どこかしら
あたたかなまなざしを介して、つたわってもくるようで、深刻に愛を
語る世界も、能天気にバケモノをやっつける世界も、共存可能な懐の深さ。
くたびれきったオッサンが、一瞬で、無敵のヒーローに、の場面は圧巻、
さまざまな世界観がリンクしてゆくカメラワークが、すばらしいです。
ヒーローの存在を信じたい気持ちを、後押ししてくれるようでもあって。
オスカー受賞は、映画への愛も手伝っているのかも。
シネプラザサントムーンにて4月
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 公式サイト
by habits-beignets | 2015-05-02 03:55 | シネマのこと | Comments(0)