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映画 間奏曲はパリで

美しすぎるんですよイザベル・ユペールさま、還暦すぎてるらしいんですけど、
牛の世話する、田舎の牧場のおかみさんにしては、でもどこか愛らしくて。

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りっぱな牛を育てる名人の旦那さんと、ああいえばこういう的な会話しながら、
つつがなく日々をやり過ごしてる奥さんが、たまたまちょっと覗いた若者たちの
パーティーで、なぜか心が波打つ気配、浮かれ騒ぎとか、恋のかけひきとか、
すっかり遠ざかって、すこし乾き気味だった感覚が、ぐいぐい潤いむさぼって。

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おだやかな暮らしに、不満があるというわけではないけれど、なんて、
よくあるお話なのですが、馴れ合いからでも、ちょっとバカにされたりが、
日常になってしまっていると、もっときちんと尊重されたい、夢でもいいから、
崇拝されたい、という欲求が、とつじょ、ムクムク頭をもたげてきそう。

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モテたいって、じつはいつでも思ってるんですよ、オバサンだって、
そんな素振り、恥ずかしいから見せたくないけど、本当はチヤホヤされたい、
若い娘なんかより、ずっといい女だって、イケメンに言わせたい、
それでどうするなんて、先のことなんか考えないで、ほんの一瞬かがやきたい。

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バカバカしくて痛々しいんですけど、くたびれかけた肩書きから逃れて、
ピュアな自分、かつて世界を征服できそうな気がしていた、魅力的な自分が、
きちんとどこかに息づいていることを、確認したくてたまらなくなる衝動って、
すごくよくわかる気が、悲しい性かも、いくつになっても「女性」のまま。

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都会の魔法にかかりたくて、やみくもに突っ走る奥さんに、すこし慌てて、
わが身ふりかえる旦那さんの、落ち込みと苛立ちと、願いのようなものが、
いじらしくもあって、すがる気持ちで訪ねたさきで見た宝物と、拍手、
身近すぎて軽んじていたものたちが、じつはそれぞれ、輝いていた事実。

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牧歌的でおだやかな生活もわるくないけれど、たまにはちょっと刺激的に、
おしゃれして、デートする楽しみが、オンナには必要、なのかもですね、
ユペールさん、パリでの実演販売をキラキラした目で見てたりして、
デートより買い物の方が、じつはけっこう楽しそうだったり。

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けれど、牧場のときのままの、ほわほわの毛皮の帽子だってキュートでした、
「羊飼い」のイメージぽくて、「羊飼い」の姿をもとめる旦那さんの
まなざしの、せつなかったりかなしかったりは、深い愛情なんでしょうね。

シネプラザサントムーンにて6月

間奏曲はパリで 公式サイト

by habits-beignets | 2015-06-25 20:17 | シネマのこと | Comments(0)

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