映画 千年の一滴 だし しょうゆ
2015年 12月 17日
和食がユネスコ無形文化遺産になった、と報道されてから久しいですが、
なるほど世界が認めるわけね、の奥深さをじっくり堪能できて。
第1章「だし」編、第2章「しょうゆ」編で、構成されるドキュメンタリー、
日本・フランス合作、2014年フランス•ドイツで大反響とのことなのですが、
和食を基礎づけるともいえそうな要素、「うまみ」を軸にひろがる物語、背景が
ドラマチックで、それぞれの食材とそこにかかわる人々の生命力がみなぎって。
だしといえば、昆布と鰹節、京都の料亭で丁寧にひかれる、たっぷりのだしは、
やわらかな湯気をただよわせ、こし布からポタリ、ポタリ、ゆっくりしたたる
しずくたちは、優雅にきらめき、静かなハーモニーを奏でながら、料理人の
感性にみちびかれるかたちで、ひとびとの味覚をうならせるまでにむすびあう。
そのむすびあいまでの、遠い道のり、はるか北の海、あるいは南の海で、
厳しい自然と闘い、寄り添いつつ、たくましく暮らすひとびとの熟練の手で、
ゆらゆら海底しげる昆布や、ぴちぴち肥えた鰹、歳を重ねた木に根づく椎茸が、
ぎっしりうまみをたくわえるよう、育てられる過程の緻密さが、揺るぎなく。
いったいどうしていつから、こんな知恵が、と驚嘆してしまうのだけれど、
だって、捕まえたり、収穫したり、で終わりにしないのですもの、それから
さらに、自然のちからを借りて、時間をかけてじっくり、おいしさがぎゅっと
あつまるよう、目には見えない化学反応を、きちんと推量るなんてことまで。
しょうゆもまた、まさに愛おしんで育てているわけだけれど、その発酵、
熟成は、ミクロの世界でのできごと、花が咲いたり、呼吸をしたりと、
目でたしかめられる変化はもちろんあっても、それをもたらす麹菌は、
微細で神秘的、家宝のように外界と閉ざされて守られる、秘薬の重々しさ。
秘薬なわけなんですね、どこにでもあるってしろものではないのですって、
どうしてそれが、日本にあるのか、という謎の解明が紹介されるのですが、
ミステリアスで感動的、先人の情熱と聡明さに、思いを馳せると、
いまの暮らしに欠かせない、しょうゆ、みそが、奇跡的な存在に思われて。
ふだん、当たり前に口にしている、和食の不可思議さ、たくさんの時間と
たくさんの自然現象、たくさんの労力、たくさんのめぐり逢わせの、
ありがたさが、遠い過去からの歴史、さまざまな場所でのひとびとの営み、
科学の視点で明かされる原理をつうじて、胸にせまって、おいしさに感謝。
シネプラザサントムーンで12月18日まで(問い合わせ多く当初の予定より1日延長とのこと)
シネプラザサントムーンにて12月
千年の一滴 だし しょうゆ 公式サイト
なるほど世界が認めるわけね、の奥深さをじっくり堪能できて。
第1章「だし」編、第2章「しょうゆ」編で、構成されるドキュメンタリー、
日本・フランス合作、2014年フランス•ドイツで大反響とのことなのですが、
和食を基礎づけるともいえそうな要素、「うまみ」を軸にひろがる物語、背景が
ドラマチックで、それぞれの食材とそこにかかわる人々の生命力がみなぎって。
だしといえば、昆布と鰹節、京都の料亭で丁寧にひかれる、たっぷりのだしは、
やわらかな湯気をただよわせ、こし布からポタリ、ポタリ、ゆっくりしたたる
しずくたちは、優雅にきらめき、静かなハーモニーを奏でながら、料理人の
感性にみちびかれるかたちで、ひとびとの味覚をうならせるまでにむすびあう。
そのむすびあいまでの、遠い道のり、はるか北の海、あるいは南の海で、
厳しい自然と闘い、寄り添いつつ、たくましく暮らすひとびとの熟練の手で、
ゆらゆら海底しげる昆布や、ぴちぴち肥えた鰹、歳を重ねた木に根づく椎茸が、
ぎっしりうまみをたくわえるよう、育てられる過程の緻密さが、揺るぎなく。
いったいどうしていつから、こんな知恵が、と驚嘆してしまうのだけれど、
だって、捕まえたり、収穫したり、で終わりにしないのですもの、それから
さらに、自然のちからを借りて、時間をかけてじっくり、おいしさがぎゅっと
あつまるよう、目には見えない化学反応を、きちんと推量るなんてことまで。
しょうゆもまた、まさに愛おしんで育てているわけだけれど、その発酵、
熟成は、ミクロの世界でのできごと、花が咲いたり、呼吸をしたりと、
目でたしかめられる変化はもちろんあっても、それをもたらす麹菌は、
微細で神秘的、家宝のように外界と閉ざされて守られる、秘薬の重々しさ。
秘薬なわけなんですね、どこにでもあるってしろものではないのですって、
どうしてそれが、日本にあるのか、という謎の解明が紹介されるのですが、
ミステリアスで感動的、先人の情熱と聡明さに、思いを馳せると、
いまの暮らしに欠かせない、しょうゆ、みそが、奇跡的な存在に思われて。
ふだん、当たり前に口にしている、和食の不可思議さ、たくさんの時間と
たくさんの自然現象、たくさんの労力、たくさんのめぐり逢わせの、
ありがたさが、遠い過去からの歴史、さまざまな場所でのひとびとの営み、
科学の視点で明かされる原理をつうじて、胸にせまって、おいしさに感謝。
シネプラザサントムーンで12月18日まで(問い合わせ多く当初の予定より1日延長とのこと)
シネプラザサントムーンにて12月
千年の一滴 だし しょうゆ 公式サイト
by habits-beignets | 2015-12-17 04:18 | シネマのこと | Comments(0)