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映画 ハッピーエンドの選び方

舞台はイスラエルの老人ホーム、おしゃれで立派でたのしそう、
互いの余生を思いやり、助け合い、でも、終わりのときに気持ちは揺らいで。

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いつも何かを工作しているおじいさんは、いたずらっ子めいた明るさで、
どうやら、病気が進行しているらしき奥さんをも、自作の発明品で励まして、
でも、重い病気に苦しむ友だちとその奥さんには、せつない気持ち、寄り添う
思いが強まって、どうにか楽にしてあげたい、切実な願いなら叶えてあげたい。

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それは犯罪、いけないことと、咎められて、葛藤して、それでもきっと、
大切なひとからの訴えを、むげにはできず、仲間をつのり、思い切って決意、
でも誰が? 誰の手で実行? で計画はのっけから頓挫しかけ、そこで発明、
誰もが罪悪感に苦しむことがないように、恐ろしい犯罪と距離を置けるように。

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いや苦しいですよね、物語はあえてあまり深刻にならないよう、あちこち
ユーモアちりばめられて、不謹慎にも笑ってしまったりもするのだけれど、
もはや命を延ばしているのが、耐えられない、けれどそれを断つ手段もない
袋小路の状況でのジタバタ、愛しているからこそ、お別れを覚悟しようと。

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思うように体が動かせて、したいことができて、気持ちを伝えることができて、
大事なことを覚えていられて、ということができなくなることの、悲しさ、
いつか回復できる希望がなければ、生きてゆくことへの執着はなくなるかも、
どんなに明るいことを考えようとしても、つきまとう虚しさに蓋をされて。

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でもどうなんでしょう、ただそこで生きている、ということだけでも、
誰かの支えになることもあるような気はするのですけれど、それまでとは
違う状態になっても、意思の疎通がかなわなくても、息づいていてくれる
だけでも、ありがたいような気もするのだけれど、それはむしろわがまま?

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やりきれない苦痛ばかりの生から、解き放たれることこそが、よろこび?
でも、それは敗北ではないの? 逃避ではないの? だって寂しいから、
そばにいたいから、いてほしいから、一緒にわかちあう時間が欲しいから。

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誰かの役に立てるよう、よろこんでもらえるよう、発明品をこしらえてきた
おじいさんの、いろんなひととの交流、お別れをとおしての、迷いが、
軽やかなテイストで伝わってきて、もしも自分の身に起きたら、どれほどの
思いが錯綜することか、生って愛って難しい、考える対象には向いてない。

シネプラザサントムーンにて2月

ハッピーエンドの選び方 公式サイト

by habits-beignets | 2016-02-27 21:04 | シネマのこと | Comments(0)

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