映画 キャロル
2016年 04月 13日
50年代ニューヨーク、クリスマスシーズンのデパート、ゼンマイ仕掛けの
玩具たちがところ狭しとならぶ売り場での、視線の交わし合いに目が釘づけ。
サンタ帽を被った売り子の女性と、たっぷりな毛皮に身を包んだ客の女性、
店内の混雑に遮られながら、目を合わせた瞬間が永遠のときでもありそうで、
これって何だろう、このわけもなく、どうしようもない、あらがえない吸引力、
もしや? そう気づいたときにはすでに遅い、迷う暇もなく、つっぱしって。
世間並みのしあわせは、すぐそこに、ちょっと手をのばせば、誰も傷つけずに
それなりに恵まれた人生を歩めそうなのに、なぜか拒絶せずにはいられない、
たぶん希望が見いだせないから、物足りなさに鬱鬱となる心が叫びそうだから、
自分が何を欲しているか、考えなくても、圧倒的な心の動きでわかってしまう。
本当に、互いをわかちあいたいと渇望したとき、異性はむしろ幻滅の対象かも、
この時代の男性は、女性を所有欲の目で見ていそうだし、上から目線は確かに、
美しさ可愛さを讃えるばかり、自分の意のままにならなければ、激しくなじる、
けれど彼女たちは、ためらいがちに、でもまっすぐ、相手の心の奥に忍びこむ。
あっと思うまもなく、二人の女性の情熱のまま、物語は加速してゆくのですが、
写真家になることを夢見る、少女のようなまなざしが、一分一秒を逃すまいと、
フィルムに刻むのが、いたいけな祈りのようでいじらしく、まぶしげに見返す、
年上の女性の、華やいでいながらも、どこか冷めた表情が、気高く悲しそうで。
いつかは終わりがくるから、という変えられない真実を受け入れるかのように、
逃避行じみた二人の関係は、中断を余儀なくされそうになり、ふと立ち止まって
考えたり決断して、そして時間が、いつか自然に熱を冷ましてくれたようにも、
でもきっと人生のなかでの、代えがたい一瞬は、強く互いの核にきざまれて。
映画冒頭からラストへの流れが、非のうちどころのない完璧さ。
目だけで、すべてを語る、女性たちの、表現力のゆたかさ。
混雑を介しての大胆な視線、誰にも悟られない密会の、濃密さ妖婉さ。
さておきファッションがとってもすてき、オードリーぽいジャンパースカート、
ヘアバンド、タータンチェックの帽子マフラー、クラシカルな車、街並も。
シネプラザサントムーンにて4月
キャロル 公式サイト
玩具たちがところ狭しとならぶ売り場での、視線の交わし合いに目が釘づけ。
サンタ帽を被った売り子の女性と、たっぷりな毛皮に身を包んだ客の女性、
店内の混雑に遮られながら、目を合わせた瞬間が永遠のときでもありそうで、
これって何だろう、このわけもなく、どうしようもない、あらがえない吸引力、
もしや? そう気づいたときにはすでに遅い、迷う暇もなく、つっぱしって。
世間並みのしあわせは、すぐそこに、ちょっと手をのばせば、誰も傷つけずに
それなりに恵まれた人生を歩めそうなのに、なぜか拒絶せずにはいられない、
たぶん希望が見いだせないから、物足りなさに鬱鬱となる心が叫びそうだから、
自分が何を欲しているか、考えなくても、圧倒的な心の動きでわかってしまう。
本当に、互いをわかちあいたいと渇望したとき、異性はむしろ幻滅の対象かも、
この時代の男性は、女性を所有欲の目で見ていそうだし、上から目線は確かに、
美しさ可愛さを讃えるばかり、自分の意のままにならなければ、激しくなじる、
けれど彼女たちは、ためらいがちに、でもまっすぐ、相手の心の奥に忍びこむ。
あっと思うまもなく、二人の女性の情熱のまま、物語は加速してゆくのですが、
写真家になることを夢見る、少女のようなまなざしが、一分一秒を逃すまいと、
フィルムに刻むのが、いたいけな祈りのようでいじらしく、まぶしげに見返す、
年上の女性の、華やいでいながらも、どこか冷めた表情が、気高く悲しそうで。
いつかは終わりがくるから、という変えられない真実を受け入れるかのように、
逃避行じみた二人の関係は、中断を余儀なくされそうになり、ふと立ち止まって
考えたり決断して、そして時間が、いつか自然に熱を冷ましてくれたようにも、
でもきっと人生のなかでの、代えがたい一瞬は、強く互いの核にきざまれて。
映画冒頭からラストへの流れが、非のうちどころのない完璧さ。
目だけで、すべてを語る、女性たちの、表現力のゆたかさ。
混雑を介しての大胆な視線、誰にも悟られない密会の、濃密さ妖婉さ。
さておきファッションがとってもすてき、オードリーぽいジャンパースカート、
ヘアバンド、タータンチェックの帽子マフラー、クラシカルな車、街並も。
シネプラザサントムーンにて4月
キャロル 公式サイト
by habits-beignets | 2016-04-13 16:31 | シネマのこと | Comments(0)