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映画 さざなみ

夫婦を長いあいだやってると、相手のことすべて、わかってるようなつもりに、
なってるのかもしれないですね、一体感をなんの疑いようもなく、信じられて。

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結婚45周年のパーティーを目前に、夫のもとに、とつぜん、スイスの氷河で、
50年前の事故での遺体が発見されたというニュースが、知らされるのですが、
不穏なまでの、彼の動揺ぶりが、妻をも、訳のわからない不安に陥らせて、
けれど、どうにか乗り越えたい、誰かに罪や悪意があるわけではないのだから。

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若さを保ったままの女性の遺体は、夫のかつての恋人、とはいえ、結婚する前の
関係だし、夫に非があるようなことではない、けれど、自分たちの結婚生活を
振り返るイベントよりも、あきらかに彼の気持ちはスイスの山へ向かっている、
その苛立ち、まるで何かを試されているような出来事に、孤独感を強いられて。

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思いがけない相手の過去や思いを知ると、途端にすべて疑いたくなるってこと、
あるような気がします、あらゆることに裏があるような感じがして、たとえば、
自分へのやさしさ、愛情だと無垢に信じていたものさえ、何かの代用ではと、
本当に求められ、価値があるのは自分ではなくて、見知らぬ誰かなのではと。

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いったん疑い始めたら、どんどんハマってゆくだけですものね、他人の言葉は、
なぐさめにしか響かなくて、ことに、疑っている相手の言動は、誤摩化しにしか
受け止められない、彼の気持ちを理解しようとすればするほど、深い闇へ、
自分の人生にさえ、自信がもてなくなって、助けてほしいのに、叫べない。

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でも、満足できるほど信じられる、すべてをわかりあえる関係って、
無い物ねだりなのかも、お互い知らない部分、わからない部分を抱えながら、
それでも寄り添ってやってゆく覚悟、というのが、必要であるのかもですね、
自分にはないものを、相手が求めているような気がしても、仕方ないもの。

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45年経ってこそ、いろいろの考えや思いがとりとめもなく浮かんでくる、
そんな感じってあるのかもしれません。自分たち夫婦は、これでよかったのか、
相手にとって自分は最良のパートナーであったのか、くよくよ考えたり、
長い年月のはずだったのに、あっというま過ぎて、呆然だったり。

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映画のラストはちょっと苦いような気もしましたけれど、苦くても、諦めない、
それが、日々、年月を重ねてゆくということのような。

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ところで、いかにもインテリ田舎暮らし風シャーロット・ランプリングの、
ナチュラルな装いが、なんともカッコよくてすてき。

シネプラザサントムーンにて7月

さざなみ 公式サイト

by habits-beignets | 2016-07-15 20:43 | シネマのこと | Comments(0)

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