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映画 わたしは、ダニエル・ブレイク

病気で失業を余儀なくされた、おじいさんが、貧しいシングルマザーと心通わせ、

なんて、ほのぼの心温まる物語かと思いきや、なかなか厳しく、鋭く、痛いです。

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イギリスのニューカッスル、実直な大工だったダニエルが、どうやら病に倒れ、

国の援助を受けるための手続きに四苦八苦、これが、見ているこちらもイライラ、

まじめに自分の窮状を伝えようとしているのに、返ってくる答えはズレまくり、

怒りをおさえて、従おうにも、わけのわからない無意味な煩雑さに、翻弄の連続。


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困窮したひとりひとりの訴えが届かないで、絶望の空気が充満した窓口で、

ふたりの子をつれた、若い母親の嘆く声が響き、たまらず援護したダニエルは、

自分の境遇だってままならないのに、彼女に同情、真心こめて出来る限りの親切、

お金はなくても、寄り添って、励まして、役立つ情報や持ってる技術で、助けて。

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けれど、いくら隣人の、やさしい気持ちやいたわる言葉があったところで、

生きてくのに、食べものや、いろんなものはどうしても必要、やはりお金が必要、

自分を理解してくれる人も、救いにはなっても、それだけでは、悲しいことに、

暮らしは成り立たない、だから、そのための国の制度のはずなのだけれど、なぜ。


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きちんと真面目に、国のための義務を果たしてきたのに、裏切られたような

やりきれなさは、どこにぶつければいいんでしょうね、援助を請うというのは、

それほどまで貶められるべきことなのでしょうか、媚びへつらえ、みたいに、

高圧的に課される手続きは、まるで、諦めろとでも、言いたげに思えて。


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自分が最後まで守りたいと願っているもの、どんな境遇になっても、大切に、

持ち続けていたものを奪われなければ、生活できない状況になってしまったら、

生きてゆく意味って、価値って、希望って、信じられるものなんでしょうか、

誰もがともに、幸福を求めることを、認めあう社会って、あり得ないの?


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いえ、みな親切なんです、隣人も知り合ったばかりの人も、見知らぬ人だって、

困ってたり倒れそうな人には、助けてくれる人がたくさん、なのに、

組織にくみこまれると、名札をつけると、とつじょ不人情に、話さえ通じず、

得体の知れない何かにたどり着けない、カフカの不条理劇さながらの、物語に。


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国民の誰もが健やかに生活できるよう、よかれ、と定められたはずのしくみが、

本来の目的から目をそらしてしまうことの、恐ろしさに、打ちのめされそうな、

善良なひとたちに、ダニエルのまっすぐな言葉が、勇気を与えてくれますように。


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シネプラザサントムーンにて6月


わたしは、ダニエル・ブレイク 公式サイト


by habits-beignets | 2017-06-06 22:56 | シネマのこと | Comments(0)

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