映画 風をつかまえた少年
2019年 12月 16日
災害が起きると、日々、エネルギーに依存している現実を、思い知らされますよね、
電気のない暮らしが、いかに過酷か、そしてそれを手に入れることがどれほど大切か。
アフリカのマラウイでは、2001年でも、電力は遠い国の魔法のような存在、
農業で生計を立て、一家の食料も食いぶちも、天候しだいの不安な暮らしぶり、
できる限りの工夫をこらし、果ては窮状を政府に訴えても、抜本的な解決はならず、
自然は容赦ないですね、大干ばつで、飢え死にが、すぐそこの、ありふれた光景に。
好奇心や知識欲が旺盛で、優秀なのに、学費が払えず授業が受けられない少年が、
ひょんなことから、電気を起こす仕組みに引きつけられて、情熱のまま図書館に、
そこで目に入った表紙のインパクト! 風で電気が! 自然の力でエネルギーが!
希望の光がみえた瞬間の喜び、これで家族が、集落のみんなが、生きられる。
けれど、彼にはっきり見えている構想でも、まわりのみんなと共有するのは難しく、
言葉で説明されても、他人の考えを理解するのって、なかなか難しいですよね、
面倒で不確かなことには、関わりたくなかったり、それでも、ともかくやってみる、
小さな風ぐるまのささやかな威力が、若者たちの気力も呼び起こし、久々の歓声が。
もはや、彼ら若者たちにとっては夢ではない風力発電に見えたけれど、じっさいに、
作るとなるとやっぱり大変、そもそも、材料を見つけるのが一苦労なんですね、
廃品置場をあさったり、不用品を再利用しようと必死になっても、それにも限界が、
肝心の、絶対に必要な部品が手に入らない、唯一の方法には大人の協力が必要で。
新しいものをゼロから作ろうとするとき、社会から疎んじられる現実のもどかしさ、
知らないものを信じようとしない大人と、あらゆる可能性を信じる若者の対決が、
まさに命をかけた切迫した状況で繰り広げられて、でも、よくよく考えてみれば、
このまま何もしないのでは失うだけでは? 考えることから逃れるのは、敗北では?
実話ということなのですが、少年の知力と行動力、純粋な情熱もさることながら、
若い教師や図書館の司書など、まわりの大人たちの、静かな協力も、微笑ましく、
また、目先の利益のために、自分の首を絞めることになってしまう経済システム、
批判を許さない、民主主義とは名ばかりの、腐敗した政治の恐ろしさは苦々しく。
未来を勝ち取るためには、どんな困難な状況でも、諦めないで考え続けること、
今まで見たことがないものでも、恐れないで、作ってみることの、大切さが。
荒れ果てた土地で生きるのは無理だと、逃げるのも、一つの選択肢ではあるけれど、
その場に留まる方法を、必死で探して実践すれば、生きられる場所が増えるから。
エンディングに、実際の風車が映るのですが、本当に、タイヤが、美しい。
時間がなくても、お金がなくても、少しずつでも考え続ければきっと未来が。
シネプラザサントムーンにて12月
by habits-beignets | 2019-12-16 01:21 | シネマのこと | Comments(0)