映画 ジョジョ・ラビット
2020年 01月 31日
舞台は戦時中のドイツ、いかにも純真そうな愛らしい少年が、なんだかワクワク、
お祭り前のように、はしゃぐ気持ちを共有する心の友は、なんと、あの、独裁者。
ヒトラーが心の友なんて、ちょっとギョッとしてしまうけれど、少年にはとても大切、
いつもそばにいて、怖いとき、悲しいとき、励ましたり、慰めたり、頼もしい親友、
あるいは、ペットのよう? 彼のために頑張らなくては、期待に応えなければ、
その愛を失わないよう、必死になれる存在って、確かに、ありがたいものなのかも。
お父さんは遠征中、大好きなお母さんと二人暮らし、いかした美しいお母さんは、
いつだって少年ジョジョの圧倒的な味方、息子のためには軍人だって物ともせず、
容赦なく立回るさまは、やや滑稽なほど爽快で、いやこの女性、只者ではなさそう、
いつも快活ではあるけれど、どこかシニカル、肝のすわった様子が感じられて。
ナチスに忠誠を誓い、戦時下だけれれど、それなりに平穏に暮らすジョジョに、
ある日、大事件が、家の二階、ひっそり眠ったままのような部屋に、不穏な気配、
恐怖にふるえながら立ち向かった先で、さらにさらに恐怖は雪だるま式に増殖、
なんと相手はバケモノ、言うなりにならなければ、自分は殺されてしまうかも。
ユダヤ人、まだ出会ったことがなく、教えられるまま、自分たちを害する怪物だと、
盲目的に信じてしまうのは、人生経験の少なさゆえであるかもだけれど、それって、
少年だけの問題なんでしょうか、けれど、ジョジョは、戦い勝つためにとはいえ、
自分の敵、二階のユダヤ人少女と対話を試み、彼女からユダヤ人を学ぼうとして。
たとえ、不毛な内容でも、真実ばかりが語られなくても、対話を重ねるうち、
化学反応が起きて、生身の姿を目にしてしまえば、引き込まれてゆく扉が開いて、
しばしば、嘘が散りばめられても、信頼と愛情は、損なわれることはなくて、
心の友ヒトラーに咎められてしまっても、それは、ジョジョとお母さんの間でも。
自分が抱えているイメージと、現実社会で出会う異物と、その板挟みにあったとき、
どちらへ一歩、踏み出すことができるか、自分が変わることを恐れず行動できるか、
それって、いつの時代でも、どこの世界でも、大切なことだっていうことが、
ジョジョの心の変化から、感じられ、偏見や先入観と戦うのって、とても大切。
スカーレット・ヨハンソン演じるお母さんが、ものすごく頼もしくてかっこいい!
とりわけ装い、出で立ちが! 街全体も敗戦間近とは思えない、おしゃれさですが、
お母さんのツートンカラーの紐靴と色鮮やかなコートがもう、目に焼きついて、
まさにアイコン、遠くからでもすぐ見つけられる、堂々たる彼女の生き様を放って。
そういえば、紐靴って、たしかに、妙に気になってしまう存在感があるような、
きちんと結べるようになることが、一人前の大人になる試練のようでもあって、
ジョジョが結べるようになるのは、大人の世界の厳しさを知るときかも、
ユダヤ少女と心が通うとき、お母さんの秘密を知るとき、戦争の真の姿を知るとき。
ストーリー自体は、やや深刻で悲劇があったりもするのだけれど、どこかコミカル、
ジョジョのロボット姿、現実の親友ヨーキーの愛らしさ、ジョジョの研究メモ、
お母さんとユダヤ少女の、終戦したらやりたいこと、ジョジョと関わる大尉の、
バカ軍人装った正体も、明るく華やかで、寓話かもですね、ヒトラーネタの。
それからともかく、みんな、お洋服など装いがとっても素敵、絵本のよう。
シネプラザサントムーンにて1月
by habits-beignets | 2020-01-31 21:37 | シネマのこと | Comments(0)