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カテゴリ:シネマのこと( 102 )

『マッピー』用ボーダー

映画 誰もがそれを知っている

ふりそそぐ陽光を浴びて、楽しげに疾走する車からの眺めは自然豊か、

遠く離れた家族とも、スマホでつながりながら、彼らの笑顔はかがやいて。

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物語はじまってすぐ、出会っては、テンポよく弾けるように、交わされる会話、

どうやら、遠く南米からひさびさに、妹の結婚式のために、子連れで帰郷した姉、

家族や友人たちとの再会に、ほころぶ笑顔は幸福を呼びよせる力さえ、ありそうで、

生まれ育った場所で、慣れ親しんだ人々と過ごす、その喜びが微笑ましかったのに。

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誰もがみな、祝福ではしゃいで、結婚式てそうですよね、新郎新婦を囃しながら、

つどった人たちみな、飲めや歌えや、楽しい気分を共有して増幅させて、

誰がどこで、何をしているのやら、わけわからなくなっても構わない高揚感、

そんな中で、ほんの一瞬の隙に、いきなり、氷水でも浴びせられたような悲劇が。

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いかにも清らかで美しい娘さんだったんですよ、なのに突然、姿を消して、

アルゼンチンから、母親に連れられて、初めて訪れたスペインで誘拐なんて、

まさに気が狂ったかのような母親、そして、事情を知った、家族、友人、

警察に届ければ命はない、と脅されて、困惑、憔悴、絶望、翻弄される彼ら。

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愛する者が、いなくなってしまったショックに、どうして?誰が?の猜疑心、

そもそも、なぜ彼女が狙われたのか、という疑問から、それぞれが抱える事情が、

徐々に、まるで、幸せを守っていた結び目が、ゆるんで、ほどけてゆくように、

穏やかな、自分たちの暮らしが、あっけなく、ばらばらに、崩れてゆく気配が。

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窮地に陥ったときって、私たちは試されますよね、何がいちばん、大切なのか、

日々、たぶん、自分にとっての優先順位は、更新されて、その確認を迫られて、

でも、それってとても、むずかしくて、切なかったりもして、苦しい作業、

けれど、逃げないで立ち向かわないと、無力な自分を、きっと後悔することに。

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愛すべき少女を、取り戻すために、何を犠牲にすることができるのか、

誰に犠牲を求めるのか、少女との関係性を、それぞれが、見つめながら、

一刻の猶予も許されず、極限状態に追いつめられた彼らが、導かれた答えに、

希望や、救いが、見出されたのかは、立場によって、考え方によって、きっと。

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一面にひろがるぶどう畑と、労働する人々、輝きを放つワインの、神々しさに、

それらを慈しみ、育てあげた農園主の男の、情念の深さが、伝わってきて、

ひょんなことから、板挟みにおちいった、彼の苦悩に思いを寄せれば、胸は痛み、

すっかり忘れてしまったほどの、過去の傷に、深追いされた境遇の悲しさが。

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それでも、困難に打ち勝ち、何かを取り戻した心持ちは、清々しく幸福なのかも。

悔いのない決断を、恐れずに下した自分には、励まされる人生であるのかも。

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イランの名匠、アスガー・ファルハディ監督が、長年、構想を練り続け、

ペネロペ・クルス、ハビエル・バルデム夫妻に当て書きした脚本とのこと、

過去に引き戻された、嘆きや祈りが、鮮やかに、大時計の歯車の動きとともに。

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シネプラザサントムーンにて9月


誰もがそれを知っている 公式サイト


by habits-beignets | 2019-09-16 20:47 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 ビリーブ 未来への大逆転

日本はまだまだ、女性の社会的地位は低い、なんて、問題になったりしますけど、

そういった声を、堂々と、発信できることだけでも、大進歩だったということが。


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アメリカの、1950年代とか60年代とか、さらっと眺めているかんじでは、

それほどひどく、女性が差別されているようには、見受けられないんですけど、

でも、確かに、細かく注意してみると、ハーバードでは、女学生は数えるほど、

表面上は、ちやほや、丁寧に対応されても、なんとなく見下されている空気感が。

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尊重されているように装われても、根深い女性軽視の現実に、ふつふつモヤモヤ、

おなじ法学生の夫と、幼い娘を持つ女学生、ルース・ギンズバーグは、、学生、妻、

母親の三足のわらじ、日々いそがしさに追われつつ、理解ある夫に愚痴りながらも、

自らの信念のまま、勉学にいそしんでいたけれど、とつじょ、夫が大病に襲われて。


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夫婦力あわせての懸命の闘病の甲斐あって、無事回復、子供も二人に、元気に育ち、

夫は晴れて弁護士に、それなり順風満帆なのだけれど、ルースの就職ばかりは座礁、

ハーバードもコロンビアも、どちらも優秀な成績であったのに、女性というだけで、

念願の弁護士への道は閉ざされ、大学で職は得たものの、差別への疑問はますます。


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差別はいけない、と一応の共通認識は、あるようなんです、1970年代の社会、

黒人への差別も禁じられ、それでも、性別からの扱いの差は、合理性があるとでも、

言いたげで、女性は根っから主婦であったり母であったりするもの、との固定観念、

対して男は、社会で働くべきで、家事をこなすなど、まるで想定されていない世界。

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多様性、個人的事情などが、考慮されにくい、思考停止状態の、窮屈な世の中では、

圧倒的多数から、こぼれ落ちた存在は、無邪気なまでに無視されて、拾われず、

今こそ大声を、長時間かけてでも、世の中にひろく、届くように、あげなければ、

たぶんその、使命感に突き動かされての、人生賭けてのたいせつな勝負に、挑んで。

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現役の最高裁判事、ルース・ベイダー・ギンズバーグの、若かりし日の挑戦は、

いまは当然とされている、法の下の平等を、現実に勝ち取るためには、いかに、

大多数の圧力にも屈しない、確かな信念と粘り強さが必要だったかということが、

よく伝わって、過去の事例ばかり持ち出さず、未来を見据えることの大切さが。

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ほぼ、負け戦にみえた、裁判所での口頭弁論の後半、情熱に従っての大演説は、

身をもって差別に苦しんだ者だからこその、説得力で、遅々としてであっても、

諦めず、未来を担う者たちへの、愛情こそが、世の中を豊かにすると、訴えて。



ラスト、実在のルース本人の姿が、登場してくれるのですが、かっこよいですね。

具体的に、現実的に、差別をなくすことって、細心の注意と忍耐執念が必要そう。

ジェンダー、て言葉、なるほど、ソフトで受け入れやすいから、必要だったんですね。

どんなに劣勢でも、理不尽だと感じたら、戦う覚悟があれば、道は拓けるって励まされ。


シネプラザサントムーンにて5月


ビリーブ 未来への大逆転 公式サイト



by habits-beignets | 2019-05-15 19:37 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 女王陛下のお気に入り

うわべは、美しく気高く知性的、けれど、ひと皮めくれば、無尽蔵の欲望、陰謀、

きらびやかな世界ゆえなのか、なかなかのグロテスクぶりが、妙な魅力を放って。



舞台は、18世紀のイングランド、アン女王が君臨する宮殿であるのだけれど、

豪華絢爛の貴族社会が描かれる一方で、どこか生臭く漂う、生き物の気配、

体裁をとりつくろう、政治や社交だけではなく、生活の場でもある王宮の、闇、

暗がりで、使用人も貴族も政治家も入り乱れての容赦ない死闘が、繰り返されて。

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そもそも、アン女王とレディ・サラとの、ふたりだけにしか通じない呼び名とか、

幼なじみならではの、昔話の含み笑いとか、嫌らしく、いかがわしく、怪しげで、

それが、国民の生命にもかかわる政治とも、結びついてしまうのが、恐ろしく、

だから、とつじょ現れた、サラの従妹、若いアビゲイルが、爽やかな風のように。


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ところが、この世界で生きてゆく住人は、誰しも野心と策略なしにはいられずに、

やられたら、やり返す、の徹底した反骨精神が、日常どこでもぶつかり合い、

感謝や尊敬や同情の言葉や態度も、裏があって当然、アビゲイルも言うに及ばず、

身の破滅の危険すら、顧みず、大胆で過激な身のこなしは、あまりにも鮮やかで。

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最初は、女王を意のままにあやつっているかのように振る舞う、レディ・サラの、

高慢さが、鼻について、なんとか懲らしめてやりたい気持ちに、なったけれど、

みるみる、その地位が脅かされ、不安や焦りの色が生じてくると、いささか不憫、

ほんのちょっとの純粋さや、いじらしさが、やや哀れに感じられて、せつなくも。

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女性たちの恋情、みたいにも描かれているけれど、何かを激しく欲するって、

わけわからないまま狂ってしまうことに、躊躇しないで、突き進むことかも、

むしろ、我にかえって、虚しさを覚えることが、恐ろしく、痴情さえ命づな、

平穏さや静けさは、不安や恐怖を呼び起こし、ありふれた幸福は、退屈に。

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宮殿でうごめく、それぞれが、勝ちとるべく躍起になっているのは、女王の寵愛、

彼女に愛されるかどうかが、自らの立場や生命までをも、決定づけることに、

それを知るからこそ、あっちにこっちに揺れる素ぶり、わがまま放題の女王さま、

けれど、引きこもりの、すさんだ姿には、言い知れない孤独の哀しみの、暗い影。

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17匹のうさぎを部屋に飼う異様さが、アン女王の心の傷の深さを象徴して、

本当のあたたかな愛情を、得られない境遇の、やりきれなさが、疲弊の色濃く、

呆けた、その表情を、素朴なひとりの未亡人にみせて、権力はあっても、虚しく、

だから、当たり散らすのもやむなし、当たり散らされる相手も、やむなし、と。

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ひどい振るまいも、それは当人の寂しさゆえ、と思い至ると、現実の自分を反省。

かなりエグいストーリーの映画なのだけれど、意外にも史実に即しているらしく、

びっくりの恐ろしさ、演出はしてるだろうけれど、登場人物の顛末は当たってて。

演者、とくに女性陣、素晴らしかったですね、女王様はオスカー受賞、よかった。

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シネプラザサントムーンにて2月


女王陛下のお気に入り 公式サイト


by habits-beignets | 2019-03-09 04:09 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛

いま、自分の幸福の度合いが、じゅうぶんで何をも必要としないほどなのか、

たしかに何かが足りなくて、それを欲して求めるべきなのかって、むずかしい。

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修道院で暮らしていた孤児のソフィア、裕福な商人の中年男、コルネリスに、

嫁ぐのですが、修道院長の言葉にも表れているように、要は、就職なんですね、

おそらく、若さ、美しさ、体丈夫さ、真面目で慎み深いところを、買われて、

貧しい少女から、お屋敷での若奥さまの暮らしになって、それはありがたく。

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就職ですから、彼女には課された仕事があるわけで、むろんそれは、あとつぎ、

お家を絶やさず、財産がきちんと受け継がれることが、夫には大切な問題、

ともに暮らす夫婦ですから、互いを思いやるあたたかな愛情は、あるけれど、

しばしば男女におとずれる、狂おしい熱情は、惜しいことに欠けらもなくて。

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じっと、射ぬくほどに見つめられれば、不意打ちに、官能への扉が開かれて、

もはや、抗うことは、やはり難しく、一瞬のためらいはあっても、なのよね、

夫のやさしさに感謝して、彼へのいたわりの気持ちを、変わらず持ち続けても、

若い画家に、走りたい心と体を、欺くことができないのは、純粋で未熟だから?



先のことはわからなくても、今この瞬間の喜びと勢いで、不確かな幸福のために、

大博打を打ってしまうのは、バブルそのもの、なのかも、落ち着いて考えれば、

安心して穏やかに暮らしてゆけることの、大切さを、省みることができるのに、

彼こそすべてと、夢中になっているときには、現実の幸福を見逃してしまう。



それにしても、チューリップの美しさが、人々を狂乱の世界へと招いたなんて、

美しく希少なもののために、一瞬のうちに莫大な金が、動いたりするんですね、

そんなもの、いつかそれほどの価値がなくなる、と冷静に見通せる賢人こそ、

たよるべき相手なのに、どこかつまらなく感じてしまったりは、たしかに。



神聖な場所の修道院でも、チューリップ栽培に関わっていたり、まるで商売人、

17世紀のオランダの風俗が、生き生きと描かれて、富める者も貧しい者も、

ごった返しの様相、ちょっとしたチャンスで、大金持ちになれる時代だったの?

というか、いまの時代と、あまり変わらないかもですね、投機に群がる人たち。


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フェルメールの絵の世界を描きたい、と創られた作品らしく、絵画的な色彩、

特に、やはりブルーの輝きがまぶしく、当時のファッションも堪能できて。

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いろいろの行き違いや、策略やら、失態やらの果てに、それぞれの立場の人たち、

悲しかったり悔しかったり憤ったりはあったけれど、みな、幸福のほのかな光を、

見つけられたような、物語の結びに、ほっと暖かく微笑ましい気持ちに。

失意のどん底から這い上がるにしても、博打で幸せはつかめないんですね。


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シネプラザサントムーンにて1月


チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛 公式サイト


by habits-beignets | 2019-01-15 14:58 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 日日是好日

もう、年の瀬、あっという間に一年がすぎてしまうことに、呆然と、少し焦って、

何もしなかった、何もできなかった、いつも悲しくなるけれど、日々はきっと。

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茶道って、側から眺めてるだけでは、ちょっと面倒くさそうな、礼儀作法の様式美、

そんな印象でもありそうだけれど、一歩その道に足を踏み入れると、世界の奥深さ、

思慮深さに、びっくり、理屈は何も語られなくとも、根拠は何も示されなくとも、

ただ、習ったとおりの所作を、何度も何度も、くり返すうちに、体得できる何かが。

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かたちをなぞることから、身体に、思考に、じわじわ染み込んでくる、想念とか、

そこから派生しての知恵とか、悟りとか、気づきとか、同じものを見たり聞いたり、

しているだけなのに、目の前に存在しているものたちが、突如ちがって映ってくる、

ここちよい驚きは、平凡な毎日をくり返すだけの、これからにも、希望の気配が。

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道に迷っていた20歳の大学生の女の子が、たまたま茶道と出合い、困惑しつつも、

お菓子の美味しさ、お点前の面白さに興味を覚えるうち、いささか中毒気味に、

まるで、茶室という空間に癒しを求めるよう通いつづけるさまは、健気で、

愛らしく、いくらか生真面目で不器用だった彼女の、心持ちも徐々にしなやかに。

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就職が難しかったり、恋でつまずいたり、現実社会で敷かれたレールを意識しては、

自分の存在の頼りなさにしじゅう鬱鬱、誰かと比べては不甲斐なさを思わず嘆いて、

それでも、しがみつく思いでお稽古を続ければ、移りゆく季節を、過ぎゆく年月を、

愛おしむ気持ちが、知らず知らずのうちに、心の奥底から溢れ、湧きあがって。

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いまの社会で暮らしていると、なかなか、時のながれに、想いを寄せる機会って、

ないかもしれない、やるべきこと、やらなければいけないことのおびただしさに、

心を奪われて、目のまえに広がっている空間を、じっと見つめることなど、

思いつかず省いて、美しく大切なものの在り処を、見つけられなくなってしまう。

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美味しいお茶でもてなすこと、こころよさをその場にいる皆で共有すること、

かすかな、湯の音、水の音、を聞き分けて、生まれてきたこの世界を体感すること、

そんな日々を、重ねてゆくことの、うれしさを知って、茶事をいつくしむ彼女の、

おだやかな生きざまが、すがすがしく、たしかにお茶って、そんな魅力。

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厳しいことや難しいことをいっさい言わないで、若い女の子たちを導く先生の、

鷹揚な奥ゆかしさが、茶道の世界観を体現しているかのようで、樹木希林さんが。

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シネプラザサントムーンにて12月


日日是好日 公式サイト


by habits-beignets | 2018-12-31 16:50 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 グッバイ ・ゴダール!

ジャン=リュック・ゴダール、ヌーベルバーグの旗手、ということであまりに有名、

そう、作品はいかにも洗練されて芸術的、というか、いささか妙ちきりんぽかったり、

では、恋人としての彼は、いったいどんな? それが、圧倒されてちょっと切なく。


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ゴダールの二度目の妻、アンヌ・ヴィアゼムスキーの、自伝的小説が原作とのこと、

すでにあまりに有名、ブレイクしてた映画監督ですもの、まだ19才の彼女が、

心酔しきってしまうのも無理なさそう、いちいち詩的っぽい受け答えもオシャレ、

偉大な作家モーリアックを祖父にもつ、哲学科の学生だった彼女には、きっと刺激的。

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でも、まあ、恋愛の悲しさ、始まりの頃は、すべてが美しく輝いて、祝福の気配でも、

慣れ親しんでゆくにしたがって、魅力が難点に、刺激が煩わしさに、教えが侮辱に、

少女から大人への急成長には、彼との関わりが、強く作用していたかもしれないのに、

皮肉だけれど、だからこそ、あれほど尊敬していた恋人が、次第に幼稚なへんくつに。

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知り合った頃からとは、お互いの立場が、くるくる入れ替わるってよくありそう、

無名だった少女が、あっという間にその魅力と知性を開花させ、自分の力で輝いて、

もはや彼なしでも、どこへでも立って歩いていけるように、なってしまえば、

ことあるごとに疑問や不満、嫉妬とか焦燥あるいは絶望とか、たとえ愛のせいでも。

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それにしても、いつもゴダールの隣に寄り添うアンヌの、愛らしさといったら!

彼に守られていることの気分のよさプンプン、で、彼女を持ち歩けるゴダールも、

いかにも誇らしそう、バービー人形さながらの恋人ですもの、ブラウスやセーター、

パリ流行ファッションの、キュートさ、ミニのプリーツからほっそり伸びた脚。

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部屋の調度品なども、どれもオシャレでカッコよく、形も色も美しいんですよね、

ポイントの赤が、ことあるごとに効いていて、ていうか、実はこれ、ゴダール映画に

捧げるための映画、というつくり、監督のミシェル・アザナヴィシウスが、いかに、

映画を愛しているか、監督ゴダールに敬意を抱いているか、が伝わってくる演出が。

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いかにもゴダールのミューズでありそうなセリフ、その視線、笑っちゃうシーンも、

気がきいて、ことあるごとの仲間での議論やら揉め事も、どこか滑稽で微笑ましく、

血気盛んに、革命運動に身を投じる姿も、単にインテリの、自己顕示にも見えて、

そして終盤、もはややけっぱちなのか、孤独に革命に突っ走る巨匠の、陳腐な姿が。

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どんなに地位や名誉のある、おじさまでも、正体は、甘ったれ駄々っ子と同じなのかも、

でも、そこがまた、とんがった知性や魅力に、反映されてしまったりなのかも。

つきあい続けるには、かなり忍耐が必要、それでも、輝けた時間は、尊いだろうけど。

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シネプラザサントムーンにて10月


グッバイ ・ゴダール 公式サイト



by habits-beignets | 2018-11-05 16:58 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 万引き家族

なんともいえないタイトルですよね、いかにもダーティーな世界っぽく。

けれど、そこには、やさしさが、よろこびが、微笑ましさが、確実にあって。


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いかにも無邪気な少年が、でも、その眼光は、異様に鋭く、口はぎゅっと固く結び、

たいせつな任務を、着実に遂行、おまじないめいたルーチンも、まるで神聖な祈り、

家族の命運を、一手に引き受けてでもいるかのような振る舞いは、もはやけなげで、

咎めることすらためらわれて、それ、犯罪だよ、と諭すのは、野暮なようにも。

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だって、怠けて遊んで、誰かを傷つけようとしているわけではないんですもの、

少年の家族は、互いにいたわり、寄り添い、大人はきちんと働いてだっている、

なのに、暮らしてゆくには足りないのだ、生きてゆくのに食べたり、装ったり、

ときには寛いで、健やかな身体と心を保つのに、わずかな賃金ではまかなえない。


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悪いことだっていうのは承知だけれど、でも、それなりに真剣に生きているのに、

たかが杓子定規の善悪論に、どれほどの価値があるっていうの?

盗みは悪いっていうけれど、たとえばその、店に並んでるものって、誰のもの?

自分の子供を、大切にできない親がいる世の中の、何を信じればいいっていうの?

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欲しいもの、というよりも、本当に必要なものだけを、きちんと見極めて、

ときには、人生をかける覚悟で、奪おうとする、彼らの生き方は、むしろ純粋で、

うわべだけを取りつくろった社会の、窪地のような一軒家は、雑然としていても、

とても豊か、すぐ隣にいつも誰かがくっついて、鬱陶しいけど、みな愛しくて。

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それでも、いつまでも家の中だけで生きてゆけるわけもなくて、少年も、少女も、

外の世界の誰かと、関わる機会はやっぱりどうしても、だってまだ、何も知らない、

いろんな人の、いろんな気持ちや、いろんな人生、想像したり、わかってみたくて、

ひろい世界には、もっと自分の味方がいるかも、正しい道が、ほかにあるのかも。

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大人になるまえの、避けて通れない、疑問ばかりの日々、痛くても、悲しくても、

本当のことに、立ち向かってゆきたい抑えられない欲求があって、我慢できなくて、

それまで信じていた世界を、いっそ壊してしまいたくなって、どこか、別の場所で、

自分ひとりの力で、やっていけるか、飛び出してしまいたくなるのかも。


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家族ってたぶん、そんな状況でも、離れても、どこかで強くつながっているものでは、

つながり方は、それぞれだろうけれど、ふと懐かしく、ときにそばに寄り添って、

たとえ世間では、許されなくても、互いの気持ちを思いやる習慣は、何よりも大事で、

法律とか、常識とか、固定観念では、とらえられない、生き物めいた集団なのでは。



貧しくても、余裕がなくても、女の子が可愛くみえるように、みなであれこれ、

微笑ましく、おしゃれ心って、やさしさと通じる、大切なもののような気配。


シネプラザサントムーンにて8月


万引き家族 公式サイト


by habits-beignets | 2018-08-12 19:35 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 ファントム・スレッド


始まってすぐ、胸ときめいてしまう、オートクチュールハウスの朝の光景、

ここで、これから、美しいドレスが、生まれようとしている、淡く白い部屋、

高名なデザイナーの、身支度すら、華麗で高貴な音楽にのって、芸術じみて。

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けれど、かけがえのない一着のドレスのために、つねに腕を振るう仕立て屋は、

暮らしすべてを仕事にささげ、だから、他人をよせつけない気難しい面が、

美しい女性のやさしい言葉より、静寂を欲する頑さは、たしかに、一流職人には、

必要な気質かもしれないけれど、彼に魅せられて近づきたい者には、激しい苦痛が。

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もしや、彼の望みはただ、理想の服を作り上げること、女性を見いだし選ぶのも、

それこそが唯一の基準で、理由で、目的なのでは、偶然出会ったウェイトレスを、

見初めたのも、はにかんだ視線の交差や、愛らしいやりとりゆえとかではなく、

制服姿の彼女のシルエット、立ち姿に、新しい服のデザインを着想したからでは。

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おそらく最初の出会いのときから、デザイナーに心を奪われたウェイトレスが、

期待していた二人の時間とは、すこしずれてしまった最初のデートの出来事が、

今後の二人の関係のむずかしさを、如実にあらわしているようで、純粋な愛って

何なの? 彼女が求めるものと、彼が求めるものの、行き違いを、どうすれば?

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誰かを熱烈に愛したとき、やっぱり自分も愛されたくて、必要とされたくて、

でも、その必要とされたいものって、あくまで自分が望んで与えられるもので、

捧げることに喜びを感じられるものでしかなかったりして、不幸にも、それを

拒絶されてしまえば、耐えがたい悲しみとか苦しみ、無力感しかなかったり。

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自分の愛が迷惑がられている、相手が不快に感じている、と悟ったときの絶望感、

それでも、自分の存在は必要とされていることの矛盾に、やりきれなさは増して、

彼を、自分の愛の世界に引き入れたい、厳格で孤独な彼の世界から抜け出させて、

うわべを飾るドレスの世界から、生身の体の世界に、引きずりこみたくなったり。

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始終ドレスのことに心を傾けて、そんな彼女のひとりよがりの愛情など、鬱陶しいだけ、

心を乱されるのは願い下げだと本心から思っても、いざ、失いそうな危機を接すると、

力ずくでもたぐり寄せたくなってしまう、気持ちや考えどおりに、動けないせつなさ、

自分のスタイルを、静かに守りたい欲求と、雑音をたてられても、すがりたい欲求。

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互いに、激しい反発を抱えながらも、狂おしく、やはり求め合ってしまう二人が、

やがて、見いだそうとする決着点は、悲しかったり恐ろしかったり愚かしかったり、

演じるダニエル・デイ=ルイスの、視線、表情、の、ものすごさ、と相まって、

ジョニー・グリーンウッドの音楽に彩られ、究極の、愛のかたちの、迫力が。

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物語の背景の、クチュールハウスの描写がすてきで、見惚れてしまいます。

レース生地を手仕事で丁寧に縫ってゆく、たくさんのお針子さん。

ファントム・スレッドとは、「東ロンドンのお針子たちが、王族や貴族に長時間衣装を縫い続け、仕事場の外でも見えない糸を縫い続けたという逸話からきている。(映画チラシより)」とのことです。


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ファントム・スレッド 公式サイト


シネプラザサントムーンにて7月


by habits-beignets | 2018-07-24 16:02 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 モリのいる場所


身近に、 すぐ足もとに存在しているものたちに、いちいち気づいて、じっと見て、

語りかけ、寄りそい、何度も、何時間も、何十年もくり返すことの、神々しさ。



ぱっと見、稚拙な作風だけれど、すでに著名な画家となった94歳のじいさんが、

のんびり朝食を終えてから、なんだか妙ちきりんな騒ぎを経ての、静かな夜まで、

とある一日をとおしての、いかに変わり者で、いかにまわりに愛されていたかが、

描かれるのですが、これが、高名な芸術家らしさのない、風体のおかしみが。

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その、目に映るもの気にかかるものの、限りなさったら、とかげ、かまきり、蝶、

蟻、鳥、魚、樹々、葉っぱ、石ころ、水面、それらを、なにひとつ漏らすまい、

どれも等しく、謎にみちて、このうえなく大切で、親密なものたちで、だから、

すべてと細やかにかかわろうとしているうちに、はるか遠くまで道に迷って。

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なんて、それほど広くはない自宅の庭が、もはや、世界の果てまでの冒険のよう、

あたかも、樹々や草がのびのび生い茂ったジャングルめいて、なんと地底まで。

長いあいだ、一歩も外にでていないという伝説も、無理なく信じられるけれど、

高いところから見下ろせば、たとえ小さな庭だとしても、広大な宇宙につながって。

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「好きなものしか書きませんから」の夫人の言葉の、徹底ぶりは、笑いを誘って、

まともに暮らしている者たちは、実際は、戸惑ったり、困ったり、呆気にとられて、

けれど、有名人相手に、あるいは老人相手に、文句もいえず、従ってみるうち、

その心持ちの、純粋さ、素朴さに、引き込まれて、芸術ってきっとそんな潤いが。

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単純な輪郭線と色彩の、虫や、鳥や、獣は、子供でも描けそうに見えるけれど、

あきれるほどの時間を、ただ見つめることだけに費やしたからこその、

迷いのない、大らかでのびのびした、筆致であるのだなあ、と想像できて、

上手とか、下手とか、超越した、清々しさみたいなものが、魅力であるのかも。

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冴えなくて、だらしなくて、頼りない、風貌だけれど、何ものにもこだわらない、

世間一般の価値観など、どこ吹く風の暮らしぶりは、みんな実は、羨ましかったり、

たいせつな庭で生きるものたちが、マンション建設で、どうなることやらと、

夫人はやきもきしているようだけれど、画家本人は、どこか達観の雰囲気が。

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じつは、個人的なことですが、熊谷守一はずっと以前からとても好きで、

まだ、開館まもない豊島区の美術館を訪れて、その愛らしさに感激したことが。

手元に、昭和53年発行の、「アサヒグラフ別冊 美術特集 熊谷守一」が、

あるのだけれど、開いてみたら、映画の場面がけっこう忠実で驚きました。

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若いときの作品は、ふつうにわかりやすく上手なかんじだったんですね。

純粋に、まっすぐ、描きつづけると、絵の構図は単純に、のびのびするのかも。


シネプラザサントムーンにて7月


モリのいる場所 公式サイト




by habits-beignets | 2018-07-04 21:13 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 シェイプ・オブ・ウォーター

陽の光から遠ざかった、静かな、水底のような世界で暮らす、ひとびと、

映像の世界でのみ、そとの社会をかいま見ることができる者たちが、触れあって。

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終始、薄暗く、人工的な灯がたよりな、夜の研究所の世界は、たえずどこか不穏で、

陰謀や猜疑が、いたるところで渦巻いていそうな、東西冷戦時代を象徴させて、

言葉を発せないまま、つましい暮らしの日々をくり返す、主人公の女性が、

ひそやかに、すこしずつ、自分の世界を築きあげてゆくのには、危ない雰囲気が。

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そんな場所で、突如、関わるようになった、異形のものを、心に受け入れたのは、

なにか自分と通じるものを感じたからかもしれないけれど、美しく、可憐な存在を、

見極めるたしかな目を、きっと持っていたからでは? 孤独でいたわしい存在を、

放っておくことが、できなかったからでは? 隣人や同僚を、大切に思うように。

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いかにも大事そうに、紙袋を抱いて家を出る彼女の姿は、まるで、少女のように、

愛らしく、なかにはささやかな、贈りもの? お弁当? 仕草や視線での言葉が、

通じあって、気持ちが通いあって、その喜びが、日ごとにふくれあがって、

冷酷な事情のもとに、水槽につながれている彼なしでは、生きていけなさそうに。

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分厚いガラスを挟んだ、水中と外との、奇妙なロマンスは、けれど、いつまでも、

許されるわけもなく、残酷な終わりの気配がただよって、ひとそれぞれ、

いろいろな思惑、与えられた立場で、強者は弱者を、容赦なくねじ伏せようと、

暴力もいとわない、嘲られ、貶められるのは、やはり多数からはずれた者たち。

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それでも、誰にも奪われたくない、奪わせてはいけない、と彼女が決めたとき、

立ち向かう相手が何者であろうと、恐れず、見境ないほど、まっすぐ突き進んで、

その迷いのなさに、まわりの心ある者たちも、その本性をあぶり出されるように、

自らの気持ちに率直に、行動をおこす、まるで秘密結社ででもあったかのように。

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どれほど、求める気持ちが強くても、愛したい、愛してほしいと願っても、

まったく同じ世界で、生きているわけではない、それぞれが、つながれるのは、

ほんの一瞬に過ぎないのは、いつだって誰だって、そうなのかもしれないけれど、

大切に思っていることを、伝えたい、そのために、自分のすべてを賭けてでも。


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そんな、ピュアな気持ちこそが、閉塞気味の社会を救うことができる、力かも、

異形であることを、むしろ畏れをもって迎えることの、麗しさ、尊さこそが。

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60年代のアメリカのファッションや、テレビ、映画、カメラ、が映す映像が、

暗がりで繰り広げられる、大人のファンタジー世界を、妖艶にうつくしく。


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シネプラザサントムーンにて3月

シェイプ・オブ・ウォーター 公式サイト


by habits-beignets | 2018-03-28 00:47 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー