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映画 アーティスト

ムダ削減、仕分けがトレンドの世の中ですわよ、奥サマ。
色とか、言葉とか、ほんとうに必要なのか、考えたことおありですか?
なくなったら、寂しいって、つまらないに決まってるって、思ってません?
大丈夫! つまらなくないから! 大切なことに気づくことができるから!
と、おもわず力説したくなる、快作登場、オスカーも、太鼓判ポン! です。

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お話は、映画がサイレントから、トーキーへ移る時代の、その変化に抵抗する
かつてのスターと、その変化の波にうまく乗って活躍する女優の、触れ合い。
恋であったり、葛藤であったり、お互いを思う気持ちは、つねにあるのに、
意思の疎通が、うまくできない、もどかしさ、それが、モノクロサイレントの
世界によって、いっそう切なく、いじらしく、ひろがりを持って、描かれます。

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情熱とか、恋い慕う気持ちとか、たぶん言葉では、ぜんぜん伝えられない。
ほんとうのことを知りたいとおもったら、じっと目を見たり仕草を観察したり、
それでもまだ、知ることができなくて、もどかしさに気が狂いそうになって、
誰にも知られずこっそり、スクリーンのなかの相手を見つめたり、ひそかに
助ける方法を探したり、あれやこれやの行動がすべて、愛。言葉はなくても。

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もしかしたら、言葉や色があふれてしまうことで、たいせつなこと、
ほんのちょっとの喜びや陰りを、見過ごしてしまっているのかもしれません。
言葉や色は、もちろん多くのことを伝えることができるだろうけれど、
同時に、嘘や、ごまかしのためにも、利用されやすいから。
わずかなヒントから、その奥に潜むものを見つける想像力の、素晴らしさ。

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台詞がないことで、集中して映像を観ることができて、あらたな発見に、
よろこびを感じることが、できるんではないかとおもいます。まったく音が
ないかというと、そういうわけではなく、すてきな音楽はひっきりなし
だし、ときおり、いたずらみたいに、音が鳴るし、色のない分、光がつくる
陰影があざやかで、そして言葉がない分、犬の訴えも、ひとの訴えと同じに。

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技術の進歩で、音や色の再生が可能になったことで、浮かれて、それらを
使いまくって、今度は立体的に、と、新しい技術に頼っての表現方法ばかり
に目が向けられているようだけれど、そうではなく、すでにある技術でも、
工夫次第、とらえ方次第で、いくらでもあらたな発見ができる作品を生む
ことができるのだと勇気づけられる、素敵な、映画なんです。ご覧あれ!


シネプラザサントムーンにて、4月

アーティスト 公式サイト

# by habits-beignets | 2012-04-15 03:11 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 僕達急行 A列車で行こう

はい、春になりましたよ! 寒い冬もようやく終わってくれますよ!
からだが軽くなって、どこかに行きたくなりますね。
というわけで、かわいい男の子たちと、電車でどこかに行ったつもりに。

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鉄道好きの男の子たちが、偶然の再会を果たして、という物語の始まり
なのだけれど、一言で鉄道好き、といっても、さまざまな楽しみ方があって、
お互いのそれを尊重して、という一歩ひいた感じのつきあいかたが、
微笑ましく、けれど少しせつなく、厳しいオトナの覚悟もちょっぴり。

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小さな鉄工場社長の息子のコダマくんが、電車のなかのあらゆる場所を、
いとおしそうに触れるところが、ちょっと漫画チックではあるのだけれど、
技術者のはしくれとしては、当然のところであるのかも、というリアリティ。
目の輝きが、こちらの気持ちにまで、幸福感を届けてくれます。

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サラリーマンのコマチくんは、九州転勤になっても、長旅にでも出るような
楽しげで軽やかなリアクションで、赴任先でも、電車が見られればなあ、
と、マイペースマイライフを、少しもくずさない。自分の価値観があるって、
どこに行っても、軸がぶれずに、強くいられるってことなのかもしれません。

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恋とか、仕事とか、それなりの事件や挫折、紆余曲折が、ガタンゴトン、
ゆらり揺られながらの、ゆる〜いスピードで描かれて、とりあえずは
ハッピーぽくはあるのだけれど、これでよかったという決着に行きつくまで
には至らないで、冴えないままの暮らしぶり。でも、この安定感はなに?

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何があっても、大丈夫、という、妙な自信というか開き直りというか、
それは、何かを信じる気持ちが揺るがないから、なんでしょうか。
汚れなく、無私の気持ちで、愛することのできる対象物がある以上は、
損得抜きのつきあいを、他人と育むことができるということの、自信?

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女子との恋愛は、ダメダメで、けれど、ショックを受けたところで、
それで自分を嫌悪するほどの、深刻さはまったくなく、自分の世界を
もってるからこその、強みなんでしょうけど、も少し懲りたら?

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海、川、山、畑、美しい色合いの、いろんな場所を、電車はまっすぐ、
レールを敷かれたとおりに、律儀に走る、生真面目な男の子みたいに。
唐突なギャグがもりこまれたりの、サービス精神もある映画なんですが、
御茶目な男の子の、置きみやげ、みたいな作品であるのかもです。

ところで、じつは私の部屋からも、東海道線がバッチリ! 新幹線も
富士山背景によく見えます。かわいい男の子たち、招んであげたい……


シネプラザサントムーンにて、3月

僕達急行 A列車で行こう 公式サイト

# by habits-beignets | 2012-04-02 00:31 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

たいせつなひとを失う、という経験は、誰にでもかならず訪れるもの
なのでしょうけれど、それがあまりに突然、あまりに理不尽なかたち
だった場合のやりきれなさって、どうなんでしょう。9・11のお話。

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わが目を疑うような大惨事の光景は、恐ろしく衝撃的なものだったけれど、
それによって、生命を絶たれた数多のひとたちのそれぞれの人生にまで
踏み込んで想像することは、ありませんでした。たぶん、恐かったから。
ひとつの社会的な事件として、遠くから眺めることで、済ませたかったような。

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けれど、否応もなく、普段の生活が破壊されたひとたちは、実際に大勢
いたわけで、それでたとえば、ありえないほど慕っていた父親をあの事件で
奪われた少年がいたら、こんなふうにもがくのでは、という物語。
遺体にさえ、別れをつげることもできずに残された、苦しみとの葛藤。

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少年期だからこその、繊細さというか残酷さというか、思考力、想像力は
かなり長けているのに、自分を律したり宥めたりすることは、できないで、
ただやみくもに、父親の未知の部分に触れようと、奔走するさまは、
それで何かが、解決するとも思えないのに、馬鹿馬鹿しいとはいえない。

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愛するということは、求めるということで、いつまでも諦めずに
探し続けることだということが、少年の無謀ともいえる冒険が、切々と
訴えかけてくるかのよう。父親の、ほんのひとかけらだけでもいいから、
見つけたい、という、からだの奥底から湧いてとめられない欲求。

そんな彼がめぐりあったひとたちが、みな彼に同情して、あたたかな
コミュニケーションがあって、という筋書きは、でもちょっと出来過ぎで
ハリウッド調でもあるのだろうけれど、明るくできるものならば
可能なかぎり明るく、ということでもあったのかもしれません。

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中盤から登場する「間借り人」の、謎めいた感じは、いくらか消化不良の感が
あるけれど、自らの想像力ではあきたらない方には、原作本がお勧めかも。
くり返される大惨事の、くり返される苦悩が、くわしく語られて、それでなお、
希望をあきらめないで、生きてゆく、生きることを覚悟する勇気もつたわって。


シネプラザサントムーンにて、2月

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い 公式サイト

# by habits-beignets | 2012-03-12 00:12 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画(DVD)とファッション めぐりあう時間たち

はっ、いつのまにやら、新しい年が!
今年もたくさん、映画とかいろんなこと、楽しみたい。

とか言いながら、じつは年末年始、セールにつられて、きれいな
いろんなものの、ウインドウショッピングに、夢中だったり、
近頃は、連日の厳しい寒さを忘れたくて、春物にうっとり、だったり。

そういえば、映画を観る楽しみのうちには、美しい街並や、
洒落たインテリア、登場人物の装いなどに思い切り見とれる、
ていうのも入ってます、はい、私の場合は少なくとも。

というわけで、この映画のこんなファッションがよかったなあ、
ていうのを、ちょっと振り返ってみたくなったりして。

で、思いついたのが、『めぐりあう時間たち』。

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三つの異なる時代と場所でのストーリーが、同時並行のかたちで
描かれる、とても奥行きのある、たぶん、中年女性にもっとも
訴えかけてくる、せつなく、それでいて希望の光が見える作品。

個人的にイチオシの映画なんですけれど、これに出てくる女性たちの、
装いが、それぞれみんな、雰囲気があって、強く印象に残ってしまう。

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冒頭から、水中で脱げてしまう、クラシカルで気品漂う靴。
まるでこれから始まる物語の、危うさと美しさを象徴するかのよう。
オスカーを受賞したニコール・キッドマンの演技はもちろん物凄いけれど、
彼女の足から脱げた靴だって、負けない演技をしていたかのような。

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それで、作中ずっと、ニコールの足もとから目が離せなくなりました。
素敵なんですよ! 小花模様のゆったりしたワンピースに、きっちり
甲をくるんだ、適度にかかとの高い、トラッドテイストな靴が!
イギリスの片田舎の、のどかな風景のなかで、すっくと立つ足もとが!

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素敵な靴ってほれぼれしてしまう……で、ジュリアン・ムーアの
エスパドリーユにもまた、目を引かれて。ロスアンジェルス郊外の
ごく普通の主婦の、カジュアルなお出かけにマッチしたエスパドリーユ
なんだけれど、彼女の揺らぎをあらわしているかのような、頼りなさ。

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足首を縛っている紐が、まるで足かせのよう、というのは考え過ぎ
かもしれないけれど、高級そうなホテルを闊歩するには、いささか
心もとない感じで、まさにジュリアンの、くずおれそうな気持ちそのまま。

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幸福そうなんですけれどね一見、ジュリアンは、家庭でもきちんと、
大きな花柄のカシュクールワンピースや、胸のあいたパーティードレス
に身を包んで、夫や子供に微笑みかけて、理想の主婦めいているのだけれど、
その美しい装いが、だんだん、彼女の精一杯の虚勢にも見えてきたりして。

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現代のニューヨークでキャリアウーマンやってるメリル・ストリープも、
虚勢が痛々しく映ります。女性らしさをあえて避けるような、さっぱりした
出で立ちが、寒々しい都会の風景に似合っているのだけれど、それが一転、
台所で料理をするときの少女のようなエプロン姿、パーティーに出席しようと
ドレスアップしたときの、大人の女のエレガントさに、目を奪われて。

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その場その場にふさわしい、それぞれのファッションが、物語の起伏を
うまく表現していて、飽きさせません。そのひとの背景というか心理状態とも
リンクしているようで、興味深い。身につけるものって、やっぱり、いまの
自分の温度というか、気分が反映されてしまいますものね。

で、もっか私は、緑に囲まれた片田舎で創作に没頭しようと苦悶する
ニコールに憧れる気分があったりして、彼女がまとっていたきれいな
プリントのワンピースに心ひかれてる状態です。物語を、夢を見たくて、
お洋服って、ついつい欲しくなってしまうものなのね……。

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お洋服や靴だけでなく、作品自体すべて、素晴らしかったこの映画。
同じ監督の新作『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』
が、とっても楽しみ! 原作は『僕の大事なコレクション』の作者だし!

興味をもたれた方はぜひDVDなどで。


めぐりあう時間たち 公式サイト

僕の大事なコレクション 公式サイト

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い 公式サイト

# by habits-beignets | 2012-01-23 22:33 | シネマとファッションのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 マネーボール

いつのまにか、ぐっと寒くなってきましたね。
体調くずしやすくなってたりして……元気に、なり、たい……
というわけで、活力みなぎりそうな映画を、観たい!

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実話がもとになっている、なかなか勝てないプロ野球チームのお話。
野球ってそんなに観ないし、あまり興味もなかったのだけれど、
プロの世界って、スポーツとはいえ、ほんとにビジネスそのものなんですね。

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ブラピが野球チームのGMとやらの役なんですが、そもそもGMていうのが
何なのかわかっていなかった私には、新鮮で興味深いところがありました。
限られた資力で、いかに勝てるチームを作るか頭を悩ませ、選手個人の才能や
努力を重んじる旧体制にするどく斬り込む姿は、まさにやり手のビジネスマン。

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そんな殻が、数値化されたデータをもとに選手を評価する手法と出合い、
その理論を紹介した男を、自分の信頼すべき右腕として採用して、
それまでの常識をくつがえすようなやり方で、チームを勝利に導こうと
するのだけれど、なかなか思うようにいかないで、苛立つことになり。

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苦悩しながらも、すがるように自分の信じた道をまっすぐ進もうとする彼が、
しばしば思い出すのは、選手として期待されながらも大成できなかった自分の
苦い過去なのだけれど、もしかしたら、どうして自分が活躍できなかったのか、
改めて検証することで、前に進もうとしている必死さがあったのかも。

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選手とはなるべく関わらない、彼らを駒のように扱うべき局面があるから、
と主張する彼が、ものすごいスピードで、トレードの話を進めてゆく様子は、
たしかにひどく冷酷で、薄情のようだけれど、一方、覚悟をきめてロッカー
ルームに入った彼の姿には、なにかこれまでになかった力がやどったような。

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「きみたちには自覚がないだろうが」と、語った彼の台詞が、とても印象的。
数値や統計は、人間味がなくて冷たい感じがしそうだけれど、その情報を
共有して同じ目標に進もうとすることで、連帯感が生じ、勇気や希望が生まれ、
データを超えた力が思いがけず発揮される、そんな物語のクライマックス。

じつはブラピって『リバー・ランズ・スルー・イット』の可愛らしさをなくした
いまは、たいして魅力を感じていなかったのだけれど、これ、とてもよかった。
スターぽくなくて、ごくフツーの悩める中年男っぽくて、すてき。
あ、て、私同い年でした……がんばって!

シネプラザサントムーンにて、11月

マネーボール 公式サイト

# by habits-beignets | 2011-11-25 18:39 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー