2012年 05月 25日
あやふやになって、いいようのない不安におそわれ、誰かに、すがりたくなる。
そんなとき、身近にいてくれる誰かのぬくもりが、どうしても欲しくなる。
大スター、マリリン・モンローが、イギリスの名優ローレンス・オリヴィエに
招かれるかたちで、彼が監督もつとめる主演作で共演したときの、舞台裏が
ひとりの青年の視点から、描かれるのだけれど、非常にナーバスで、それゆえ
予定や約束を守ることができず、見方によっては、ただの傲慢でわがままな女。
ところが、ひとたび、眠っていたかのような演技力が目覚めると、誰もが
あっけにとられ、目が釘づけ、その一瞬のために、けっきょく許されながら
撮影はすすめられてゆくのだけれど、彼女の不安定さはまわりを怖れさせ、
それで、ひょんなことから雑用係の若者が彼女に接近、そして親密に。
彼女にしてみれば異国、若者にしてみればまだ見知らぬ世界、そこで出会い、
女優のイメージとはかけ離れた、孤独なかおに触れた若者が、戸惑いながら
精一杯のやさしさで、彼女をささえようとする姿が、いささか滑稽ながら、
せつなかったり、愚かしかったり、しょせん、かなわぬ気持ちなのに。
ほんのひととき、と、きっと誰もがわかっているのに、それでも、永遠の
ものとしてとどめたい、それが、恋、というものなのかもしれません。
ずっとこのまま続くことはなくても、いまこの瞬間の触れ合いが嘘という
わけでは、けっしてなくて、信じる一瞬のなかに、永遠が光のように。
原題は「MY WEEK WITH MARILYN」、たしかに、あるいは恋というより、
「マリリンと僕の7日間」というような、ほのかな触れ合いのかんじが
あるような。まわりから隔絶された、ふたりきりの時間は、でもきっと
まぶしかったでしょうね、実話ということなのだけれど、きらめく思い出。
ミシェル・ウィリアムズは、似ていないのに、映画を見ていると、マリリンに
見えてくるから、不思議。冒頭の、きらきら歌って踊る場面から、楽しくて、
あー観てよかったと、すぐに満足、お話には、オリヴィエとのロマンスが有名な
ヴィヴィアン・リーもでてきたりして、映画好きには、なんだかうれしい。
シネプラザサントムーンにて、5月
マリリン7日間の恋 公式サイト
# by habits-beignets | 2012-05-25 20:59 | シネマのこと | Comments(0)