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映画 神々と男たち

あんまり、宗教とかって、興味なかったりするんですけれど。
でも、信仰心ていうのは、誰の心にも宿っているものだという気はしていて。
宗教とか関係なく、神々しいというか、そういう姿勢って、あると思います。

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宗教って厳格なもので、他の宗教と相容れないものなんじゃないかって
イメージがあるのですけれど、アルジェリアに派遣されているフランス人
修道士は、現地のイスラム教徒とお互いを尊重して、微笑ましいほど。
万人を愛することこそが、教えなのだと、実践している姿に威厳があります。

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けれど、生命をおびやかす危険が目の前にせまってきて、修道士たちも
「人」として揺らぎはじめて。「死ぬためにここに来たのじゃない」
それもまた真、「神にすべてを捧げた」それもまた真。そんな迷いを
生じさせたのが、宗教を盾にした争いだというのがまた、皮肉というか。

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信仰とは、勇気をさずけてくれるものなのだなあ、と、でも思いました。
どんな相手に対しても、分け隔てなく、対話を試みようとするその姿勢に。
暴力に怯え屈してしまうことが、暴力の世界を認めてしまうことで、
たとえ銃を向けられても、話し合おうとすることこそ、暴力の否定なのかも。

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相手側の宗教を尊重して理解して、それが対話と平和を生む瞬間があって、
交渉とはこういうものなのだなあ、と思いました。それですべてがうまく
いくわけではない、ということも、すぐ後で描かれはするのだけれど。
誰とも愛をわかちあい、生をまっとうしたいと願うのに、できない悲しさ。

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しばしば、聖書の教えや聖歌に触れることになるのだけれど、どれも美しく
しみじみと、心にしみました。緊迫した状況のなか、迷いながら苦しみながら、
でも淡々と、自分たちの使命や死生観と向き合い、状況に対応してゆく修道士
たちの、つかの間のお酒を楽しみながらの、表情が、なんともいえず崇高で。

じっさいにあった事件ということです。
クライマックス、修道院の静寂、雪けむり、余韻が残りました。

シネプラザサントムーンにて、9月

神々と男たち 公式サイト

# by habits-beignets | 2011-09-13 18:03 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 ツリー・オブ・ライフ

ふだん、じっさいに見えているものにだけ、囲まれて、あるいは、
つながって、自分は存在しているような気になっているのだけれど、
そうではない、ということが、じわじわ伝わってくる映像の数々でした。

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暗闇にゆらめく光と、なにか尊厳なものに対する語りかけが、物語への
導きとなっているのだけれど、映しだされた光景を眺めつづけていても、
はっきりとした説明はなされず、ただ、ひとびとの悲しみ、苦しみ、
切なさを、推しはかリながら、引きずられるように、傍観するだけ。

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まるで、タイムトラベルでもしているかのような、場面から場面への
ジャンプは、ショーン・ペン演じる、中年となった息子の視点から
とらえられたものなのか、あるいは、確固たる事実として、神の視点が、
私たちに語りかけてくるものなのか、圧倒されるような世界のひろがりで。

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アメリカのどこかの、平凡な家族のなかでの、葛藤やいたわりも、
所詮、神に与えられた苦難や慈愛でしかないのかと、やりきれない
気持ちにさいなまれる一方で、それでも無条件に愛してくれる何者かの
存在を、信じようとする祈りのようなものが、息子の嘆きに聞こえてきます。

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ショーン・ペン、ブラッド・ピットという豪華な顔ぶれが話題になりそうなの
だけれど、じつは彼らが映っている時間は、映画全体のほんの一部のような
印象で。というか、人間ひとりふたりの具体的な悩み事やストーリーなど、
生命のすべての歴史のなかで、縷々として続いてきた事実でしかないのだと。

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キリスト教あるいは聖書に通じていると、かなり入りこめるところが
あるのでは? と推測できる内容であったけれど、それらを知らなくても、
壮大な宇宙、歴史のなかで、自分たちが生かされていることが、感じられます。
誰かたいせつなひとを亡くしたときに感じる、不条理に対する答えとかも。

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ところで、ジェシカ・チャステイン演じる母親の、ワンピースがすてき。

シネプラザサントムーンにて、8月

ツリー・オブ・ライフ 公式サイト

# by habits-beignets | 2011-08-24 19:07 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 ソウル・キッチン

なにか、おいしいものが、無性に食べたいのだけれど、
それが何なのかわからない……。そんなときは、こんな映画?!
ドイツの雰囲気あじわえる、大衆食堂ものがたり。

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冒頭は、なにやら胡散くさい雰囲気ぷんぷんなんですけれど。
あまり上等とはいえなさそうな、キッチンとメニュー。
でも、常連のような客たちの反応はまずまずで、雑多な料理の数々も、
どこか懐かしい感じで、素朴でおいしそう。

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ところが、恋人が遠地へ去ったり、わけありの兄が登場したりと、
さまざまな問題がたてつづけに起こって、オーナーのジノスは、
いつのまにやら八方塞がり、挙げ句に腰痛に苛まれて厨房に立てず、
偶然見知った腕利きのシェフを雇うものの、そう簡単にはうまくいかず。

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とはいえ、空回りしていそうだった状況も、情熱のなさるわざか、
運が味方をしてくれたのか、うまい調子に動き出して、でも思わぬ
落とし穴があったりと、七転八倒の連続なのだけれど、レストランが
舞台だと、それがなんとも、リズミカルで楽しげで、深刻でも暗くなくて。

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ドイツのハンブルクが舞台なのだけれど、あまり異国という気がしない。
ちょっと大きめの日本の大衆食堂のようで、親しみを覚えるたたずまい。
廃品の寄せ集めのテーブルと椅子みたいでも、妙に居心地がよさそう。
オーナーが手作りした、と語る、なるほど、魂のキッチンなわけね。

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ともかく、おいしいものを作る男は文句なくかっこよくて、
おいしいものに群がるひとびとは、文句なくいとおしくて、
料理を中心につどう場所は、ささやかな幸福感に満ちていて、
きっと、なくなってはいけないところなんでしょう、誰にとっても。

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主人公を演じたのは、実際にレストランをやってるオーナーだとか。
俳優として、まったく遜色なかったのですけれど、というか充分魅力的。
ウド・キアーが、またしてもちょい出演ながらの存在感、怪優ぶり。

ハリウッド映画とはちがう、ヨーロッパのおしゃれな感じがよいし。
レストラン映画って好きなんです、理屈なく活気があって。
旧作だけど、『ディナーラッシュ』も、面白いです、おすすめ。

シネプラザサントムーンにて、8月

ソウル・キッチン 公式サイト

# by habits-beignets | 2011-08-09 21:58 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 大鹿村騒動記

予告編で、あっ面白そう、て。邦画あんまり見ないんですけど。
カラッと、あっけらかんの空気の感じに、惹かれました。

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300年の歴史がある村歌舞伎ってことで、ずいぶん活気があって
盛り上がってるようなんですけど、やはり若者の姿はあまりなく、
過疎ってる雰囲気は否めない。でも、だから何だ、の溌剌ぶりです。
いや、それに、盛り上がってるのは歌舞伎ばかりじゃなくて。

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18年前に駆け落ちして出て行ってしまった親友と愛妻が、
とつぜん、戻ってくる、というところから物語は始まって。
しかもその愛妻、認知症とやらで、記憶がぼろぼろ。
夫を捨てたことなどすっかり忘れての、かいがいしさまで身にまとって。

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会話の内容から推して、おそらくみんな、60歳ぐらいのはずなのだけど、
言ってることや、やってることが、少年少女そのままで、笑えてしまう。
原田芳雄と岸部一徳の喧嘩なんか、きかんぼうの男の子のまま。
善ちゃん、治ちゃん、て呼び合ってるから、なおさらなんだろうけれど。

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リニア新幹線だの、台風だの、歌舞伎の練習だの、もめたり騒いだりの
繰り返しのなかでも、たがいを思いやる気持ちは、当然のように揺るがない。
一瞬、正気にもどって夫に顔向けできないという妻も、歌舞伎の空気に
なじんでゆくうち、素直な姿勢を取り戻したみたいで、一件落着と思いきや。

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山奥の自然に根づく、大らかさ、それが人々の明るさに作用してるのかも。
おじさんおばさんたちの右往左往は、どうやら落ち着く気配がないけれど、
それだってきっと、明るく生きている証そのものにちがいなく。
夢中で演じた村歌舞伎の、拍手喝采が起こったような、見事な舞台。

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ワンピース、スカート姿の、大楠道代さんの、少女っぽさも素敵だけれど、
原田芳雄さんの、ラストの画面が、なんとも。

シネプラザサントムーンにて、7月

大鹿村騒動記 公式サイト

# by habits-beignets | 2011-07-24 22:06 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 ウッドストックがやってくる!

暑いですね! 暑いとなにか、事件がほしくなってしまいます。
ひと夏の思い出っていうんでしょうか。ぎらぎらの太陽にあぶられると、つい。
ニューヨーク州ホワイトレイクで、鬱々と田舎の生活を送っていたひとびとも、
きっとそうだったに違いない、というのは勝手な思い込みかもしれないけれど。

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1969年、実際に行われた、野外コンサートのお話なのですが。
つぶれそうなモーテルを、両親のためになんとかしようと、町おこしの企画に
苦心している青年エリオットが、超有名アーティストのコンサートを
誘致しようと奮闘することになるのだけれど、保守的な住民から罵られたり、
金もうけに走る仲間に悩まされたり、間に合いそうもない準備に奔走したり。

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さびれた町が活性化されるのは、たしかにありがたいことだけれど、
いきなりのカルチャーショック、まるでイナゴの群れに襲われるように、
ものすごい数の群衆がやってくることは、どちらかといえば恐ろしくもあって、
それまでの平穏な日々に、さまざまなひずみが生じてきて。

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それでも、どんなに騒がしい連中でも、見知らぬひとたちとの触れ合いは、
楽しく、刺激的で、温かで、生きる気力を呼び起こしてくれて。
エリオットのお父さんの目の輝きが、如実にそれをあらわしていました。
物語の初めの方では、何も話さない、人生あきらめきった老人だったのに。
よそ者の客人たちと、和気あいあいと話し、楽しそうに仕事をこなし。

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悩みの種のお母さんの問題点は、万事解決というわけにはいかなかったけれど、
でも、親子だって、考え方や感じ方はいろいろ、それを思いやりながら、
離れることになっても、きっとまた帰ってくるという、信頼感がうまれた気配。
自分は頼られてるんだから、両親のために尽くさないと、という気負いから、
解放されたようなのも、びっくりするような人びとの波にもまれたからかも。

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コンサート、が話の中心なのだけれど、コンサートの場面はあまりなく。
それに関わる人々の、個人的なお話の羅列だったり、準備の大変さ、
開催中の混乱だったり、目眩しそうな後片付けの様子だったり。
みんな、がんばれ。

ジョイランドシネマ沼津にて、7月

ウッドストックがやってくる! 公式サイト

# by habits-beignets | 2011-07-10 19:56 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー