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映画(DVD)とファッション めぐりあう時間たち

はっ、いつのまにやら、新しい年が!
今年もたくさん、映画とかいろんなこと、楽しみたい。

とか言いながら、じつは年末年始、セールにつられて、きれいな
いろんなものの、ウインドウショッピングに、夢中だったり、
近頃は、連日の厳しい寒さを忘れたくて、春物にうっとり、だったり。

そういえば、映画を観る楽しみのうちには、美しい街並や、
洒落たインテリア、登場人物の装いなどに思い切り見とれる、
ていうのも入ってます、はい、私の場合は少なくとも。

というわけで、この映画のこんなファッションがよかったなあ、
ていうのを、ちょっと振り返ってみたくなったりして。

で、思いついたのが、『めぐりあう時間たち』。

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三つの異なる時代と場所でのストーリーが、同時並行のかたちで
描かれる、とても奥行きのある、たぶん、中年女性にもっとも
訴えかけてくる、せつなく、それでいて希望の光が見える作品。

個人的にイチオシの映画なんですけれど、これに出てくる女性たちの、
装いが、それぞれみんな、雰囲気があって、強く印象に残ってしまう。

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冒頭から、水中で脱げてしまう、クラシカルで気品漂う靴。
まるでこれから始まる物語の、危うさと美しさを象徴するかのよう。
オスカーを受賞したニコール・キッドマンの演技はもちろん物凄いけれど、
彼女の足から脱げた靴だって、負けない演技をしていたかのような。

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それで、作中ずっと、ニコールの足もとから目が離せなくなりました。
素敵なんですよ! 小花模様のゆったりしたワンピースに、きっちり
甲をくるんだ、適度にかかとの高い、トラッドテイストな靴が!
イギリスの片田舎の、のどかな風景のなかで、すっくと立つ足もとが!

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素敵な靴ってほれぼれしてしまう……で、ジュリアン・ムーアの
エスパドリーユにもまた、目を引かれて。ロスアンジェルス郊外の
ごく普通の主婦の、カジュアルなお出かけにマッチしたエスパドリーユ
なんだけれど、彼女の揺らぎをあらわしているかのような、頼りなさ。

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足首を縛っている紐が、まるで足かせのよう、というのは考え過ぎ
かもしれないけれど、高級そうなホテルを闊歩するには、いささか
心もとない感じで、まさにジュリアンの、くずおれそうな気持ちそのまま。

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幸福そうなんですけれどね一見、ジュリアンは、家庭でもきちんと、
大きな花柄のカシュクールワンピースや、胸のあいたパーティードレス
に身を包んで、夫や子供に微笑みかけて、理想の主婦めいているのだけれど、
その美しい装いが、だんだん、彼女の精一杯の虚勢にも見えてきたりして。

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現代のニューヨークでキャリアウーマンやってるメリル・ストリープも、
虚勢が痛々しく映ります。女性らしさをあえて避けるような、さっぱりした
出で立ちが、寒々しい都会の風景に似合っているのだけれど、それが一転、
台所で料理をするときの少女のようなエプロン姿、パーティーに出席しようと
ドレスアップしたときの、大人の女のエレガントさに、目を奪われて。

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その場その場にふさわしい、それぞれのファッションが、物語の起伏を
うまく表現していて、飽きさせません。そのひとの背景というか心理状態とも
リンクしているようで、興味深い。身につけるものって、やっぱり、いまの
自分の温度というか、気分が反映されてしまいますものね。

で、もっか私は、緑に囲まれた片田舎で創作に没頭しようと苦悶する
ニコールに憧れる気分があったりして、彼女がまとっていたきれいな
プリントのワンピースに心ひかれてる状態です。物語を、夢を見たくて、
お洋服って、ついつい欲しくなってしまうものなのね……。

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お洋服や靴だけでなく、作品自体すべて、素晴らしかったこの映画。
同じ監督の新作『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』
が、とっても楽しみ! 原作は『僕の大事なコレクション』の作者だし!

興味をもたれた方はぜひDVDなどで。


めぐりあう時間たち 公式サイト

僕の大事なコレクション 公式サイト

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い 公式サイト

# by habits-beignets | 2012-01-23 22:33 | シネマとファッションのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 マネーボール

いつのまにか、ぐっと寒くなってきましたね。
体調くずしやすくなってたりして……元気に、なり、たい……
というわけで、活力みなぎりそうな映画を、観たい!

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実話がもとになっている、なかなか勝てないプロ野球チームのお話。
野球ってそんなに観ないし、あまり興味もなかったのだけれど、
プロの世界って、スポーツとはいえ、ほんとにビジネスそのものなんですね。

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ブラピが野球チームのGMとやらの役なんですが、そもそもGMていうのが
何なのかわかっていなかった私には、新鮮で興味深いところがありました。
限られた資力で、いかに勝てるチームを作るか頭を悩ませ、選手個人の才能や
努力を重んじる旧体制にするどく斬り込む姿は、まさにやり手のビジネスマン。

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そんな殻が、数値化されたデータをもとに選手を評価する手法と出合い、
その理論を紹介した男を、自分の信頼すべき右腕として採用して、
それまでの常識をくつがえすようなやり方で、チームを勝利に導こうと
するのだけれど、なかなか思うようにいかないで、苛立つことになり。

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苦悩しながらも、すがるように自分の信じた道をまっすぐ進もうとする彼が、
しばしば思い出すのは、選手として期待されながらも大成できなかった自分の
苦い過去なのだけれど、もしかしたら、どうして自分が活躍できなかったのか、
改めて検証することで、前に進もうとしている必死さがあったのかも。

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選手とはなるべく関わらない、彼らを駒のように扱うべき局面があるから、
と主張する彼が、ものすごいスピードで、トレードの話を進めてゆく様子は、
たしかにひどく冷酷で、薄情のようだけれど、一方、覚悟をきめてロッカー
ルームに入った彼の姿には、なにかこれまでになかった力がやどったような。

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「きみたちには自覚がないだろうが」と、語った彼の台詞が、とても印象的。
数値や統計は、人間味がなくて冷たい感じがしそうだけれど、その情報を
共有して同じ目標に進もうとすることで、連帯感が生じ、勇気や希望が生まれ、
データを超えた力が思いがけず発揮される、そんな物語のクライマックス。

じつはブラピって『リバー・ランズ・スルー・イット』の可愛らしさをなくした
いまは、たいして魅力を感じていなかったのだけれど、これ、とてもよかった。
スターぽくなくて、ごくフツーの悩める中年男っぽくて、すてき。
あ、て、私同い年でした……がんばって!

シネプラザサントムーンにて、11月

マネーボール 公式サイト

# by habits-beignets | 2011-11-25 18:39 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 神々と男たち

あんまり、宗教とかって、興味なかったりするんですけれど。
でも、信仰心ていうのは、誰の心にも宿っているものだという気はしていて。
宗教とか関係なく、神々しいというか、そういう姿勢って、あると思います。

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宗教って厳格なもので、他の宗教と相容れないものなんじゃないかって
イメージがあるのですけれど、アルジェリアに派遣されているフランス人
修道士は、現地のイスラム教徒とお互いを尊重して、微笑ましいほど。
万人を愛することこそが、教えなのだと、実践している姿に威厳があります。

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けれど、生命をおびやかす危険が目の前にせまってきて、修道士たちも
「人」として揺らぎはじめて。「死ぬためにここに来たのじゃない」
それもまた真、「神にすべてを捧げた」それもまた真。そんな迷いを
生じさせたのが、宗教を盾にした争いだというのがまた、皮肉というか。

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信仰とは、勇気をさずけてくれるものなのだなあ、と、でも思いました。
どんな相手に対しても、分け隔てなく、対話を試みようとするその姿勢に。
暴力に怯え屈してしまうことが、暴力の世界を認めてしまうことで、
たとえ銃を向けられても、話し合おうとすることこそ、暴力の否定なのかも。

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相手側の宗教を尊重して理解して、それが対話と平和を生む瞬間があって、
交渉とはこういうものなのだなあ、と思いました。それですべてがうまく
いくわけではない、ということも、すぐ後で描かれはするのだけれど。
誰とも愛をわかちあい、生をまっとうしたいと願うのに、できない悲しさ。

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しばしば、聖書の教えや聖歌に触れることになるのだけれど、どれも美しく
しみじみと、心にしみました。緊迫した状況のなか、迷いながら苦しみながら、
でも淡々と、自分たちの使命や死生観と向き合い、状況に対応してゆく修道士
たちの、つかの間のお酒を楽しみながらの、表情が、なんともいえず崇高で。

じっさいにあった事件ということです。
クライマックス、修道院の静寂、雪けむり、余韻が残りました。

シネプラザサントムーンにて、9月

神々と男たち 公式サイト

# by habits-beignets | 2011-09-13 18:03 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 ツリー・オブ・ライフ

ふだん、じっさいに見えているものにだけ、囲まれて、あるいは、
つながって、自分は存在しているような気になっているのだけれど、
そうではない、ということが、じわじわ伝わってくる映像の数々でした。

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暗闇にゆらめく光と、なにか尊厳なものに対する語りかけが、物語への
導きとなっているのだけれど、映しだされた光景を眺めつづけていても、
はっきりとした説明はなされず、ただ、ひとびとの悲しみ、苦しみ、
切なさを、推しはかリながら、引きずられるように、傍観するだけ。

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まるで、タイムトラベルでもしているかのような、場面から場面への
ジャンプは、ショーン・ペン演じる、中年となった息子の視点から
とらえられたものなのか、あるいは、確固たる事実として、神の視点が、
私たちに語りかけてくるものなのか、圧倒されるような世界のひろがりで。

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アメリカのどこかの、平凡な家族のなかでの、葛藤やいたわりも、
所詮、神に与えられた苦難や慈愛でしかないのかと、やりきれない
気持ちにさいなまれる一方で、それでも無条件に愛してくれる何者かの
存在を、信じようとする祈りのようなものが、息子の嘆きに聞こえてきます。

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ショーン・ペン、ブラッド・ピットという豪華な顔ぶれが話題になりそうなの
だけれど、じつは彼らが映っている時間は、映画全体のほんの一部のような
印象で。というか、人間ひとりふたりの具体的な悩み事やストーリーなど、
生命のすべての歴史のなかで、縷々として続いてきた事実でしかないのだと。

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キリスト教あるいは聖書に通じていると、かなり入りこめるところが
あるのでは? と推測できる内容であったけれど、それらを知らなくても、
壮大な宇宙、歴史のなかで、自分たちが生かされていることが、感じられます。
誰かたいせつなひとを亡くしたときに感じる、不条理に対する答えとかも。

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ところで、ジェシカ・チャステイン演じる母親の、ワンピースがすてき。

シネプラザサントムーンにて、8月

ツリー・オブ・ライフ 公式サイト

# by habits-beignets | 2011-08-24 19:07 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー

映画 ソウル・キッチン

なにか、おいしいものが、無性に食べたいのだけれど、
それが何なのかわからない……。そんなときは、こんな映画?!
ドイツの雰囲気あじわえる、大衆食堂ものがたり。

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冒頭は、なにやら胡散くさい雰囲気ぷんぷんなんですけれど。
あまり上等とはいえなさそうな、キッチンとメニュー。
でも、常連のような客たちの反応はまずまずで、雑多な料理の数々も、
どこか懐かしい感じで、素朴でおいしそう。

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ところが、恋人が遠地へ去ったり、わけありの兄が登場したりと、
さまざまな問題がたてつづけに起こって、オーナーのジノスは、
いつのまにやら八方塞がり、挙げ句に腰痛に苛まれて厨房に立てず、
偶然見知った腕利きのシェフを雇うものの、そう簡単にはうまくいかず。

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とはいえ、空回りしていそうだった状況も、情熱のなさるわざか、
運が味方をしてくれたのか、うまい調子に動き出して、でも思わぬ
落とし穴があったりと、七転八倒の連続なのだけれど、レストランが
舞台だと、それがなんとも、リズミカルで楽しげで、深刻でも暗くなくて。

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ドイツのハンブルクが舞台なのだけれど、あまり異国という気がしない。
ちょっと大きめの日本の大衆食堂のようで、親しみを覚えるたたずまい。
廃品の寄せ集めのテーブルと椅子みたいでも、妙に居心地がよさそう。
オーナーが手作りした、と語る、なるほど、魂のキッチンなわけね。

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ともかく、おいしいものを作る男は文句なくかっこよくて、
おいしいものに群がるひとびとは、文句なくいとおしくて、
料理を中心につどう場所は、ささやかな幸福感に満ちていて、
きっと、なくなってはいけないところなんでしょう、誰にとっても。

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主人公を演じたのは、実際にレストランをやってるオーナーだとか。
俳優として、まったく遜色なかったのですけれど、というか充分魅力的。
ウド・キアーが、またしてもちょい出演ながらの存在感、怪優ぶり。

ハリウッド映画とはちがう、ヨーロッパのおしゃれな感じがよいし。
レストラン映画って好きなんです、理屈なく活気があって。
旧作だけど、『ディナーラッシュ』も、面白いです、おすすめ。

シネプラザサントムーンにて、8月

ソウル・キッチン 公式サイト

# by habits-beignets | 2011-08-09 21:58 | シネマのこと | Comments(0)

『マッピー』用ボーダー