2011年 07月 24日
カラッと、あっけらかんの空気の感じに、惹かれました。
300年の歴史がある村歌舞伎ってことで、ずいぶん活気があって
盛り上がってるようなんですけど、やはり若者の姿はあまりなく、
過疎ってる雰囲気は否めない。でも、だから何だ、の溌剌ぶりです。
いや、それに、盛り上がってるのは歌舞伎ばかりじゃなくて。
18年前に駆け落ちして出て行ってしまった親友と愛妻が、
とつぜん、戻ってくる、というところから物語は始まって。
しかもその愛妻、認知症とやらで、記憶がぼろぼろ。
夫を捨てたことなどすっかり忘れての、かいがいしさまで身にまとって。
会話の内容から推して、おそらくみんな、60歳ぐらいのはずなのだけど、
言ってることや、やってることが、少年少女そのままで、笑えてしまう。
原田芳雄と岸部一徳の喧嘩なんか、きかんぼうの男の子のまま。
善ちゃん、治ちゃん、て呼び合ってるから、なおさらなんだろうけれど。
リニア新幹線だの、台風だの、歌舞伎の練習だの、もめたり騒いだりの
繰り返しのなかでも、たがいを思いやる気持ちは、当然のように揺るがない。
一瞬、正気にもどって夫に顔向けできないという妻も、歌舞伎の空気に
なじんでゆくうち、素直な姿勢を取り戻したみたいで、一件落着と思いきや。
山奥の自然に根づく、大らかさ、それが人々の明るさに作用してるのかも。
おじさんおばさんたちの右往左往は、どうやら落ち着く気配がないけれど、
それだってきっと、明るく生きている証そのものにちがいなく。
夢中で演じた村歌舞伎の、拍手喝采が起こったような、見事な舞台。
ワンピース、スカート姿の、大楠道代さんの、少女っぽさも素敵だけれど、
原田芳雄さんの、ラストの画面が、なんとも。
シネプラザサントムーンにて、7月
大鹿村騒動記 公式サイト
# by habits-beignets | 2011-07-24 22:06 | シネマのこと | Comments(0)